2018年06月14日

No.360 日本アジアG vsサンヨーホームズ 結末

一切報道されていない日本アジアGによるサンヨーホームズへの敵対的TOBですが、昨日、TOBの結果が公表されました。買付予定の株数3,702,708株に対して、応募株数は1,104,913株でした。按分にはならず、すべて買い付けられます。ちなみに、日本アジアGはTOB前にサンヨーホームズの議決権の4%を保有していましたが、TOBの結果、議決権は12.76%になったそうです。念のためサンヨーホームズの株主構成を見ておきます。

法人株主68.45%、従業員持ち株会1.13%、(安定かどうかわからないけど)入子氏1.85%、合計71.43%が安定株主比率です。高すぎる・・・。この株主構成をみると、応募するのは個人株主23.07%から入子氏1.85%と従業員持ち株会1.13%を引いた20.09%の株主でしょう。仮に機関投資家が株主にいたとしても、このTOBは上場廃止を目的にしていませんから、売らないでしょうね。外人も1.86%いますが、誰もこのTOBが行われていることを知らないでしょう。純粋個人株主もTOBが実施されていることを知らない人もいるでしょうし、安定株主もいるでしょう。議決権ベースでの応募は約8%ですが、こんなもんでしょうかね。

日本アジアGの議決権割合は12.76%ですから、第3位株主になります。サンヨーホームズはどうするのでしょうか?「無視」でしょうね。日本アジアGが筆頭株主になったり、サンヨーホームズが持ち分法適用会社にされてしまったりすれば話は別ですが、第3位株主ですよね?無視ですよ、無視。ただし、13日の株価ですが、寄付きは前日比84円高の1,139円でした。かなり高く始まりました。もしかしたら、日本アジアGが市場での買付を始めたのかもしれません。佐々木ベジもソレキアへのTOB終了後、市場でソレキア株を買い増しましたから、同じような行動を取っているかもしれません。

今回の日本アジアグループによるサンヨーホームズに対する敵対的TOBの真の狙いは、正直よくわかりません。サンヨーホームズを持ち分法適用会社にしたかったのかな、とは想像しますが。今回のケースのインプリケーションは「安定株主の存在は敵対的TOBの抑止には必ずしもならない」ということかと思います。サンヨーホームズの安定株主比率は高すぎるくらいの水準です。TOBによって過半数を取ることは不可能です。拒否権すらムリです。しかし日本アジアGは敵対的TOBを実施しました。何かしらの狙いがあるのでしょう。もしかしたら、サンヨーホームズの上位株主は大手企業ばかりであり、持ち合い解消の流れに逆らえず、いずれサンヨーホーム株式を手放す時期が来るだろう、と考えている可能性があります。中長期にわたってサンヨーホームズの経営に関与していくつもりなのかもしれません。リクシル、オリックス、関西電力、セコムがかなりの株式を持っているから安心ではあるものの、普通の会社が議決権の12%も持たれたら結構深刻な事態ではないでしょうか?安定株主がいるから無視はできるけど、いなかったら無視はできないでしょう。逆にサンヨーホームズは今回のTOBに応募しなかった安定株主を無視した経営はできなくなります。リクシルやオリックス、関西電力、セコムについては何らかの見返りを与える必要もあるのではないかと思います。それが営業取引での見返りなのか、社外役員のポストなのかはわかりません。

安定株主比率が高い会社は、何の見返りもなく守られている訳ではない、ということではないでしょうか?

 

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