2018年12月26日

No.492 エフィッシモ、リコーを買い増し

いやー、リコーほどの時価総額(約8,000億円)の会社がこんなに買われるとは思いもしませんでした。エフィッシモが2018年12月20日に提出した変更報告書によると、保有割合は15.60%から16.67%に上昇しました。取得資金の総額は140,536,815千円。1,400億円も突っ込んでいます。保有割合の推移は以下の通りです。

2015年

9月4日   8.61%

10月6日   9.68%

2016年

1月27日  10.79%

2月24日  10.84%

6月21日  11.54%

10月4日  12.04%

12月21日   12.14%

2017年

保有割合に変動なし

2018年

6月15日  13.06%

6月27日  14.11%

9月5日   14.55%

11月20日  15.60%

12月20日  16.67%

2015年9月4日に大量保有報告書を提出し、2015年から2016年にかけて買い増し保有割合は12.14%になりました。しかし2017年はまったく取得せず、2018年5月頃より取得を再開しました。リコーの株価を見ておきましょう。

エフィッシモのリコー株の平均取得価格ですが、取得資金の総額140,536,815千円、保有株数124,194,400株のため、1,132円です。最近の株価は1,100円を割れているので含み損の状態です。さてエフィッシモはどうやって儲けるのでしょうか?どうやってEXITするのでしょうか?

1社、エフィッシモの投資事例を見てみましょう。ヤマダ電機です。保有割合の推移は以下の通りです。

2014年

10月21日 7.32%

11月7日  9.77%

12月15日 10.90%

2015年

1月5日  11.98%

1月22日  13.09%

1月22日  13.16%

7月27日  14.40%

8月28日  15.50%

2016年

2月19日  15.71%

3月22日  15.29%

3月22日  15.27%

2017年

3月17日  15.14%

10月5日  14.14%

2018年

4月3日  13.26%

エフィッシモはヤマダ電機の株を最大で15.71%まで取得しました。最大保有割合時点の平均取得価格は、取得資金の総額53,633,153千円、保有株数151,844,800株のため、353円でした。ではヤマダ電機の株価を見てみましょう。

2014年の株価が安いときにたくさん仕込んだのですね。その後株価はわりと右肩上がりです。そして2016年3月頃から売却し始めました。ヤマダ電機の時価総額は5,000億円ですから、出来高もけっこうあるでしょう。他の出来高の少ない銘柄に比べて売りやすかったのだと思います。平均取得価格353円を大きくうわまわる水準まで株価が上昇したから売却し始めたのでしょう。ただ、まだ13.26%も持っていますから注意は必要ですが。

リコーも同じように株価が上がってくれさえすればエフィッシモは市場で売却するかもしれません。ただ、ヤマダ電機と違い、リコーの株価は低調です。エフィッシモの平均取得価格を大きく株価が上回らないと彼らは売却しないでしょう。これからかなりの時間がかかるかもしれません。現在のところエフィッシモのリコー株の保有目的は純投資となっていますが、株価が上がらず業を煮やして保有目的を変え株主提案などをしてくることもあるかもしれません。

「株価なんて増資で資金調達する必要がなけりゃあ、気にしなくてもいいだろ?」という極端な考え方もありますし、そういう考え方の経営者もいらっしゃることでしょう。しかし、株価を安く放置しているとこういう投資家のターゲットになり、株価が上がらないとなかなか出て行ってくれません。そしてターゲットになるかならないかは、安定株主比率の高低とはあまり関係ないのです。どこでもターゲットになります。

 

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