2023年09月11日

No.1597 今週水曜にTAKISAWAが意見表明をします

TAKISAWAに対して買収防衛策のルールに一応則って買収提案をしているニデックですが、TAKISAWAの状況にかかわらず9月14日からTOBを開始すると言っています。

https://www.nidec.com/-/media/www-nidec-com/corporate/news/2023/0713-01/230713-01.pdf?rev=8a29661706974025b71b8c1aa94315e2&sc_lang=ja-JP

一方、ニデックの提案を受けたTAKISAWAは9月13日に意見を表明すると公表しました。

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS03883/f596652d/7489/4b48/a1d0/0d36b36dd1a7/140120230728529482.pdf

TAKISAWAはこれまでニデックに二度の質問をしました。まずTAKISAWAの反応ですが、回答書を受領しました、9月13日に意見表明をします、といった内容です。質問内容、回答内容ともに明らかにされていません。

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS03883/ff839bdc/66b0/426c/b7a4/7b1063f68ebc/140120230822545294.pdf

一方のニデックも同様です。「対象者とは書面及び面談による質疑応答を通じて本取引に関する建設的な議論を続けております」「当社は今後も、対象者が同年 9 月 13 日に本取引に対する意見表明を公表するために引き続き対象者との建設的な対話を続けてまいります」とまで書いてあります。

https://www.nidec.com/jp/corporate/news/2023/news0822-01/

これ、買収防衛策のルール上、質問や回答内容は

なお、大規模買付者から意向表明書の提出があった事実及び当社取締役会に提供された大 規模買付情報は、株主の皆様のご判断に必要であると認められるときには、当社取締役会が 適切と判断する時点で、その全部または一部を開示いたします。

となっているんです。だから適時開示する必要はないんです。

P7冒頭。

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS03883/8a0b7507/59a6/4f5f/b18c/c1ba71efe453/140120210514418369.pdf

一方、コスモと村上さんのやり取りを見てみましょう。

コスモの買収防衛策では

当社は、本必要情報が提出された場合、その旨及び当該情報の内容を、株主の皆様が、大規模買付行為等がなされることを受け入れるか否かを判断するために必要又は有益な範囲で適時適切に開示します。

となっています。コスモは自分たちがした質問については以下の通り開示しています。

https://www.cosmo-energy.co.jp/content/dam/corp/jp/ja/news/2023/08/03-2/pdf/230803jp_02.pdf

一方、旧村上ファンドから受け取った回答は今のところ開示していません。受け取りました、のみです。

https://www.cosmo-energy.co.jp/content/dam/corp/jp/ja/news/2023/08/15/pdf/230815jp_01.pdf

一方、旧村上ファンドは回答内容を公表しています。

http://ci11.bz/wp-content/uploads/2023/08/8%E6%9C%8814%E6%97%A5%E4%BB%98%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%83%A2%E7%A4%BE%E5%AE%9B%E6%83%85%E5%A0%B1%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E5%9B%9E%E7%AD%94%E6%9B%B8.pdf

まあ、一般的な敵対的TOBに関する質問と回答のやり取りって、コスモと旧村上ファンドのようなぎこちない対応になりがちですよ。一方は回答を開示しないけど一方は開示する、私たちはこんなくだらない質問をされているけど真摯に回答していますよ、というアピールですね。

でもニデックとTAKISAWAっていたって紳士的ない対応が継続しているんです。不思議ですねえ。こういうやり取りの細かい個所をみても、TAKISAWAはニデックの買収提案に対して賛同表明をするんじゃないかと私は読んでいます。たぶん現在の取締役会の構成を数年維持する、報酬も維持する、ただしニデック側から役員を●名派遣する、といった落としどころじゃないかと想像します。以下、ニトリが島忠との間で締結した経営統合契約です。P4「島忠の経営体制」に「少なくとも5年間、島忠の業務執行取締役について現行の体制を維持」「別途指名する3名を新たに島忠の取締役とする」とあります。ちなみに島忠のLAは森濱田、FAは野村証券でした。

https://www.nitorihd.co.jp/news/items/922a0dca2f9248a56f1db843a409b520.pdf

まあ、は死んだふり作戦で突如としてホワイトナイトが登場する可能性もありますので、まだ何とも言えないところはあります。

水曜が楽しみですね。TAKISAWAの出方次第で、これから日本企業の敵対的TOBへの対策が大きく変わってしまう可能性があります。

 

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