2018年07月27日

No.391 持ち合い解消は慎重に対処すべき

この記事を覚えていらっしゃいますか?

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30949360V20C18A5EA1000/

武田背水の7兆円買収(5) メガバンクのため息 2018/5/25日経

ふたを開ければ、JPモルガンの融資額が半分の154億ドルを占め、三井住友と準メインの三菱UFJ銀行は同額の77億ドルずつ。懸念が的中したが、衝撃はそれだけではなかった。みずほ銀行が入っていない――。武田が8日の買収合意と同時に開示した融資の借入先からみずほが抜け落ちていたのだ。

 同行幹部は「過去に武田株を売ってから取引関係が切れてしまった」と釈明する。だが、大勝負にのぞむウェバーにとって古い付き合いや国籍は関係なかった。しかも外国企業の買収に欠かせない外貨調達は欧米勢に一日の長があった。

 武田の巨額買収は、取引先企業のグローバル化に対応しきれない邦銀勢の実態をも浮き彫りにした。

本当に武田株を売却したことが影響してみずほ銀行が漏れたのかどうかはわかりません。担当部署、担当役員が株を売ったことが影響したということにしておこう、と考えた可能性もあります。ただ一つ言えるのは、安易に取引先の株式を売ってはいけない、ということかと思います。持ち合い開示に関して東証が改訂CGコードで以下のように言っています。

 「株式の売却等の意向が示された場合には、取引の縮減を示唆することなどにより、売却等を妨げるべきではない」と。では、貴社から取引先に「株式を売却させてください」と言ってみてください。私がその相手先なら「わかりました」と言います。そして、ほかの持ち合い先を探し、貴社との取引をすべて新たな持ち合い先に移します。これなら文句言われませんよね?だって取引の縮減を示唆していないし、売却を妨げてもいません。株を売られたから取引をやめて、株を持ってくれる先に取引を移しただけですから。東証が言っているのは「持ち合い解消を打診してきた相手に対して、取引をやめるぞと脅して売却を妨げるようなことはするなよ」です。売却させてあげれば文句はないでしょ?ま、取引はやめますけど。

 みずほと武田の真相はわかりませんが、みずほフィナンシャルの有価証券報告書を見ても、武田株の保有は見られません。本当に売ったのでしょうね。でも、今回の融資のとりまとめをやっているのは、三井住友でもなく三菱UFJでもなく、JPモルガンなんですねえ。JPモルガンって武田の株を持っているのでしょうか?たぶんですけど、持っていないですよね?日本の銀行って、過去、日本企業にどういう営業をしてきたのでしょうか?「貴社の株も持ちますから、ぜひ!」と言ってきたのではないでしょうか?だとしたらダメですよ。株を持つから取引してくれと言ったのなら、売ったら取引してもらえなくなります。JPモルガンはそういう営業をしてこなかったのでしょう。少なくとも、株を持つから取引してくれと言った先の株を売る場合は、かなり慎重に行動する必要があるのでしょう。やはり、株式保有に頼らない営業力、独自性をつけていくことが重要なのでしょうね。自社単独でできない場合は、M&Aも選択肢の一つではないでしょうか?

ほら、持ち合いのことを考るということが、自社の企業価値向上策を考えることにつながりましたよね?

 

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