2021年12月21日

No.1213 東芝出身者ではムリだったということ。交渉できるわけがないんですよ

すみません。無料コラムの作成が間に合わなかったので、本日は有料コラムです。

だから東芝出身ではない車谷さんが来たけどダメだったじゃないか!とおっしゃるかもしれませんが、車谷さんほどの方でも東芝を救うことができませんでした。では誰であれば救うことができたのでしょうか?

答え①:日立製作所の川村さん

以下のコラムでもお伝えしたことがあるのですが、私は東芝を救うための一番の適任者は日立製作所の元社長 川村隆さんだと思っています。

https://ib-consulting.jp/column/3697/

そもそもアクティビストへの第三者割当増資を決定した際の責任者は綱川さんです。そんな綱川さんがアクティビストと交渉なんてできるわけがありません。交渉のたびに「苦境を救ってやったのは誰だと思ってるんだ!」と言われたら「ははー、アクティビストの皆さまでござりまするー!」となります。頭が上がらないんですよ。だから増資後に新たな経営トップを据えるべきだったと私は思います。東芝出身者ではなく社外の人をです。

そして、その方は金融機関出身者ではダメです。アクティビストからみて金融機関出身者ってどう見えるんでしょうか?たぶんですが「オレたちと同じ穴の狢だろ?」ではないでしょうか?しょせん東芝の本業を知らない人、投資ファンドと同じ。だからアクティビストはなめてかかります。

だからこそ、金融機関出身者をあてるのではなく、川村さんこそが適任なのです。以下、川村さんの経歴です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E6%9D%91%E9%9A%86

東京大学工学部電気工学科卒。在学中は原子力発電の研究に従事。2003年に日立製作所の副社長を退任し、日立マクセル等の会長をつとめます。しかしリーマンショックの影響等により日立が大赤字を計上すると呼び戻され、代表取締役会長兼執行役社長に就任します。その後、驚異的なV字回復を成し遂げ、2013年に会長を退き、2016年6月まで相談役をつとめました。2017年3月、東京電力HD会長の就任が公表され、2020年4月に退任です。年齢は82歳です。最近誕生日だったようですね。やや高齢に思えますが「四十、五十ははなたれ小僧 六十、七十は働き盛り 九十になって迎えが来たら 百まで待てと追い返せ」という言葉もありますので、まだまだ働き盛りです。ぜひ川村さんに会長就任をお願いしたらどうでしょうか?

川村さんならアクティビストも強気では出れないと思いますよ。日立のV字回復を成し遂げた方であり、原子力のプロです。東芝の事業にだってかなりの知見がおありでしょう。そんな事業のプロである川村さんにド素人のアクティビストが意見などできません。そもそも彼らが言っているのは本業の立て直しではなく、株価や還元のことだけです。川村さんが自信をもって、東芝の方向性を説明したら太刀打ちできないでしょうし、世論やアクティビストではない株主からの支持は得られるでしょう。

そうです。ここが重要なのです。アクティビストって東芝株の3割程度しか持っておらず、他は一般の国外の機関投資家ということですよ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB121AO0S1A410C2000000/

東芝の事業をきちんと理解する経営者がまともな事業戦略、立て直し戦略を説明したら、一般の機関投資家はこっちを支持するはずなのです。アクティビストがいくら「配当増やせー!」「巨額の自社株買いをやれー!」「身売りしろー!」って声高に主張しても、川村さんが「いたしません!」と言えば一般投資家は支持しますよ。

では、川村さんが引き受けてくれない場合、どなたにお願いしましょうか?以下の方々でどうでしょうか?

答え②:日本電産の永守さん

答え③:ソフトバンクの孫さん

答え④:ユニクロの柳井さん

どうでしょう?この人たちならアクティビストもかなわないでしょう。永守さんなんてアナリストのことを「みんな私の弟子」と言い、「証券アナリストを養成するのも経営者の仕事だ」とおっしゃっています。

https://www.j-cast.com/2013/07/27180142.html?p=all

永守さんから見たらアクティビストなんて「ちょっと我の強い子たち」くらいにしか見えないでしょう。そしてこの人たちはアクティビストに「オレたちの言うことを聞かないなら、反対票を投じるぞ!」と脅されたら何と答えるでしょうか?たぶん「どうぞ」とおっしゃると思います。

今の東芝に必要なのは、スピンオフによる東芝の解体などではありません。強烈な個性を持ち、東芝の立て直しを自信をもって力強く主張できる経営者が必要なのです。

https://dot.asahi.com/aera/2017041300018.html?page=1

公家の東芝に必要なのは野武士です。

 

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