2023年09月14日

No.1600 不二家のジャニーズ対応にみる株主構成の差

以下のニュースをご覧ください。

https://news.livedoor.com/article/detail/24987298/

不二家は、14日から開始予定だったジャニーズ事務所所属グループ「Snow Man」を起用したセブン―イレブン店舗での販売促進キャンペーンが中止になったと発表した。12日に始まっていたファミリーマートでの同様のキャンペーンも、14日で終了する。キャンペーンは、チョコレート菓子「LOOK」で、対象商品を購入すればクリアファイルがプレゼントされるという内容。中止はいずれもセブンとファミマ側の判断だったという。ジャニーズ事務所は、創業者による性加害問題で、大手企業による所属タレントの広告起用の中止などが相次いでいる。不二家は起用について「変更の予定はない」としており、不二家洋菓子店店頭でのキャンペーンは継続している。

不二家の販促キャンペーンについて、セブンとファミマは中止の判断をしたのに対して、不二家の店頭では継続しています。この差は、私は株主構成の違いからくるものだと思っています。3社の株主構成、大株主を見てみましょうか。

ファミリーマートは伊藤忠がTOBをかけて上場廃止にしました。ほぼ伊藤忠のみが株主です。不二家とセブンを比べれば一目瞭然です。安定株主比率が全然違います。しかもセブンは外国人株主比率も高いし、バリューアクトというアクティビストにも狙われています。グローバルに事業展開もしています。だからジャニーズ事務所のタレントを起用したキャンペーンなど中止せざるを得ないのでしょう。当たり前です。

一方の不二家は安定株主で守られており、外国人株主も少ないので、あまり意識する必要がないのでしょうね。ただこう言うと「でも親会社の山崎製パンは意識せざるを得ないのでは?現に非上場会社になったけど、親会社が伊藤忠商事であるファミマは中止したよね?」とおっしゃる方がいるかもしれませんね。では山崎製パンと伊藤忠も比べてみましょうか?

はい、ご覧の通り、伊藤忠商事は安定株主比率がものすごく低く(これくらいの時価総額だと当たり前の水準)、外国時株主比率が高いです。しかし山崎製パンは安定株主比率が非常に高く、外国人株主比率が非常に低いのです。山崎製パンの時価総額って6,300億もあるんですよ。この時価総額でこの安定株主比率ってすごいですよ。

ファミマは伊藤忠商事という親会社がいるからある意味守られてはいるものの、その親会社が守られていないからジャニーズとの取引を中止せざるを得ません。一方の不二家は自信が山パンに守られている一方、山パンも安定株主に守られているからジャニーズとの取引を中止しないという判断をするのでしょう。

私は上場会社に対して、必要最低限の持ち合いは会社を守るために必要と申し上げています。ただ、それに胡坐をかいて株価や業績を上げる努力を怠ったり、世の中の法令順守やコンプライアンスへの見方に対して鈍感になってしまったりしてはいけません。安定株主を確保している以上、より一層注意深く対応する必要があります。

 

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