2024年01月18日

No.1667 今回のコラムは上場準備中の会社にぜひ読んでいただきたい

オートサーバーという会社をご存じですか?私はたまたま知っていたのですが、以下の事業を行っている会社です。

https://www.autoserver.co.jp/company/

ネットを利用した中古車オークションの会社ってところですかね。業績や株価は以下の通りです。

時価総額は約137億円です。

株価を見ておわかりのとおり、この会社、上場したばっかりの会社です。上場日は2023年9月26日で東証スタンダード上場企業です(コード5589)。で、なぜこのオートサーバーという会社を取り上げたかと言うと、以下の通りです。

1月16日の大量保有報告書の提出状況です。この日はオアシスがシダックスの大量保有報告書を提出したので、そちらが注目されましたが、はっきり言ってどーでもいい話です。以下の通りですから。有料です。

2023年11月10日 No.1632 オアシスがCTC株を買った狙いは買取請求?

2023年11月21日 No.1639 オアシスは買取請求をするの?

私は光通信がオートサーバーの大量保有報告書を提出したほうに注目しました。まあはっきり言って、光通信って大量に上場会社の株を買っていますし、大量保有報告書もたくさん提出しています。ただ、上場会社は「え?光通信に買われた!」と驚いたり、「なんでうちを買うの?」と不気味に感じたりします。まあそりゃそうでしょうね。ただ、大量に上場会社株を買っているので、さほど気にしなくてもいいとは思いますが、まあでも気になりますよね。

で、その光通信が2023年9月26日に上場したばかりのオートサーバーの大量保有報告書を提出したんですよ。オートサーバーさん、大量保有報告書が出たとき「光通信?携帯電話売ってる会社だっけ?なんでうちの株を?証券会社に聞いてみようか?」って思ったかもしれません。そして証券会社に聞いたら「なんだかどうして上場会社の株を大量に買っているのかよくわからないし、ちょっと不気味な存在みたい」と思ったかもしれません。そこまで教えてもらったかどうかはわかりませんが、買収防衛策導入企業の株を買って「トリガーである20%以上の株式を取得したい」という意向表明を出すこともあります。

いいですか?これが「上場する」ということなんですよ。上場したら誰でも株を買うことができます。光通信という、どうして上場会社の株をたくさん買っているのか目的がよくわからない会社も株を買うことができます。ただ「光通信でよかったじゃないですか!世の中にはもっと厳しいアクティビストがいるんですよ!」という見方もできます。

そう、上場して初っ端に出てきたのが光通信でよかったですね、旧村上ファンドとかオアシスじゃなくてよかったじゃないですか!ということなんですよ。明日、オートサーバーの大量保有報告書を旧村上ファンドやオアシスが提出するかもしれませんので。もしかしたら光通信がオアシスや旧村上ファンドに相対で売却するかもしれません。逆の話ですが、MBOをしようとして失敗した片倉工業の株をオアシスは光通信に売却しています(正確には重田光時氏が代表を務める鹿児島東インド会社に売却)。

繰り返しますが、これが「上場する」ということです。上場する前に主幹事証券から「上場したらアクティビストという非常に強面の投資家が登場する可能性がありますよ。上場するってのはそういうことなんです」という厳しいレクチャーを受けましたか?受けてないでしょう?アクティビスト、オアシス、旧村上ファンドの存在は知っていたけど、まさか自社が投資対象になるなんて考えていなかったのでは?まだまだ「うちはやっと上場したぞ!上場会社になったぞ!」という余韻に浸っていたのでは?

アクティビスト対策ってのは上場する前からちゃんと考えなくてはいけないことなんですよ。東証上場時に買収防衛策を導入しようとすると、おそらく東証は絶対ダメとは言わないけど「上場後にしたら?」と言うでしょう。でも本来は事前警告型買収防衛策もちゃんと検討しておく必要があるし、何なら上場前の導入に東証がネガティブなら、上場直後に導入するくらいの準備が必要なですよ。なお証券会社に相談しても「今から上場して幅広く株を買ってくださいってときに買収防衛策なんてあり得ないでしょう」というどーでもいいアドバイスをすると思います。そうじゃないんですよ。逆です。買収リスクが発生するのだから、どう対処していくかは上場前から考えおく必要があるんですよ。

証券会社から多少上場後の厳しいことを言われているかもしれませんが、大した話はされてないでしょう?本当に近頃、上場したら速攻でアクティビストに買われるリスクってあるんですよ。上場時のファイナンスで得た資金、「おい!それ何に使うんや?使い道ないんとちゃうか?株主に返せ!」って速攻で言われるかもしれません。それに近いことを言われたのが、サイバーエージェントの藤田さんでしょう?

3回目ですが「上場するってのはそういうことなんですよ」 上場準備の一環として「アクティビスト対策」「敵対的買収対策」ってのもやっといたほうがいいと思いますよ。そういう存在・可能性を踏まえた資本政策、株主構成対策も検討しておくべきなのです。

 

 

 

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