2024年04月16日

No.1737 わかもと製薬がアクティビストに狙われた!

わかもと製薬に株主提案?聞いた瞬間に「100%、株主提案は否決されるよね」と思いました。以下、わかもと製薬の株主構成です。安定株主比率の計算方法は明示しません。けっこうしらない方も多いみたいで、割とノウハウなんだなあということがわかりました。

正確な票読みは会員向けコラムでまとめます。なおざっと書いたコラムなので、内容はちょっとご了承ください。

これだけでは正確な安定株主を計算できませんが、これを見ただけでもわかもと製薬の安定株主比率が相当高いことがわかります。株主提案をしたのはナナホシマネジメントという投資家ですが、この投資家、みなさん覚えていますか?

かつて焼津水産化学をターゲットにしていたアクティビストです。このナナホシマネジメントという投資家は松橋さんという方がやってらっしゃるのですが、もともとは日本生命で、その後、村上ファンド創業メンバーの1人である丸木さんの「ストラテジックキャピタル」で仕事をしています。そしてやめて自身の投資ファンドを設立したようです。たぶんですが、まだ規模は大きくないと想定されますが、実力はあるのかもしれませんね。

で、かつてナナホシマネジメントが投資していた焼津水産って何をしたんでしたっけ?この会社、当初は投資ファンドによる非公開化(MBOではない)をしようとしていましたが、旧村上ファンドなどが登場し非公開化は失敗。そして今とっても話題のいなば食品にTOBをしてもらい、めでたく非公開化、いなば食品の子会社になりました。

余談ですが、本当にいなば食品の子会社になってよかったのでしょうか?おそらく取引先だったのでしょうけど、取引先の立場で見るのと子会社の立場で見るのって全然違うと思いますよ。いなば食品のオーナー、これまで焼津水産にはいい顔しか見せていないのでは?いなば食品のオーナーは皇帝・女帝の顔を隠していたんでしょう。ここから怖いと思いますよ~。

これからナナホシマネジメントはわかもと製薬を攻撃しまくるでしょうね。「もう勘弁してくれ」と言うまで攻撃し、非公開化に追い込む。これがナナホシマネジメントが考えている作戦かもしれません。もちろん私が申し上げた作戦なんて誰でも思いつくでしょうし、もっと緻密な戦略をもって攻略していくのでしょう。

筆頭株主のキッセイ薬品を攻めて完全子会社化しろと言うのかもしれないし、ほかの製薬会社かもしれません。なんなら非公開化した大正製薬に「わかもと製薬を買いませんか?」なんてアプローチをしてみたり、焼津水産と同様に投資ファンドによる非公開化をせまってみたり。資金を確保して敵対的TOBなんていうシナリオもあるかもしれませんね。

上場会社の皆さん、安定株主がこんなにたくさんいるわかもと製薬ですらアクティビストのターゲットになるんですよ。

私は常に上場会社のみなさんに対して「持ち合いは悪だと言われるけど、みなさんこれまで持ち合いを経営者の立場を守るためにやってきたわけじゃないでしょう?会社を守るためにやってきたんですよ。私は引き続き持ち合いをすべきだと言っていますが、持ち合いだけでは守り切れないかもしれません。いや、守り切ることはできるのですが、守り切る前に会社が疲弊してしまうリスクがあります。アクティビスト対応に疲れ切ってしまい、社長が本業に専念できず競争力が落ち、企業価値が毀損してしまうリスクもあります。」と申し上げたい。

持ち合いも新たなステージに来ています。日経の「私の履歴書」を読んでください。過去日本製鉄がどういう行動を取って会社を守り、価値を高めてきたのか、企業防衛の観点から見てください。そして、持ち合いに加えてきちんとした企業防衛体制を平時のうちからちゃんと構築し、「アクティビストがやってきてもOK!」ではなく「アクティビストがやってこない会社作り」をする必要があります。

平時からトレーニングが一番大切なのです。

 

 

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