2018年04月16日

No.311 東証の大家、平和不の割安際立つ 米投資ファンド触手か

 4月14日の日経電子版に掲載された記事から以下抜粋です。

東証の大家、平和不の割安際立つ 米投資ファンド触手か 2018/4/14 5:30

東京証券取引所をはじめ全国の証券取引所などのビルのオーナーである平和不動産が海外投資ファンドの買収提案にさらされていると株式・不動産市場で取り沙汰されている。海外勢の日本の不動産に対する投資意欲は高いが、土地やビルなどの売り物件が少ない。割安な株価の不動産会社の買収を通じて日本の不動産に投資する動きが表面化する局面がありそうだ。

 名前が挙がっているのが米投資ファンド大手だ。市場では「ブラックストーンではないか」と言われている。同社は今年に入ってアジアの不動産に投資するファンドとしては過去最大規模にのぼる約70億ドル(約7500億円)を集めたとされる。このファンドの投資案件として平和不の買収を計画しているという見立てだ。

~中略~

■買収防衛策は株主総会で否決も

さらに買収提案が取り沙汰される背景には、6月に予定されている株主総会で買収防衛策が期限を迎えることも影響している。

 会社が提案する見込みの買収防衛策が継続するには、出席者の半数以上の賛成が必要だ。20179月末で外国人の持ち株比率は約36%。国内機関投資家の動向によっては、買収防衛策の継続が否決される事態も想定できる。

そうなると、平和不にとって頼みの綱は資本提携した筆頭株主の三菱地所だ。約10%を保有する同社が「ホワイトナイト(白馬の騎士)」として平和不のTOB(株式公開買い付け)に乗り出すとのシナリオもある。ファンドの買収提案が表面化した場合、日本の不動産をめぐって丸の内の大家である三菱地所も巻き込んだ買収合戦に発展する可能性が高い。

 ご存知の方も多いと思いますが、平和不動産は東京証券取引所の大家さんです。海外の投資ファンドに狙われているという記事ですが、上の抜粋には入れませんでしたが、記事では

連結PBR(株価純資産倍率)も0.81倍と、同業の三井不動産1.25)、三菱地所1.52)、住友不動産1.65)と比べて割安に放置されている。

・アジアのあるヘッジファンドの株式担当者は「ブラックストーンの案件を聞いてから目立たないように平和不の株式を買い増してきた」とあかす。

・ファンドによる買収提案について平和不は「身に覚えのない話」(IR担当者)と説明するが、水面下では株価を上げて買収提案の阻止に布石を打っているとの見方もある。「今年に入って平和不は実施したことのない自社株買いの検討も社内で議論し始めたと説明するようになった。株主還元の強化を意識させて買収や株主提案に備えて株価を上げようとしている」(外国証券の不動産アナリスト)という。

 と記載されています。では、平和不動産を買収することは可能でしょうか?

 法人株主18.93%・・・だけですね。上位株主に金融機関などがいませんから、外部から見た安定株主比率は法人株主比率である18.93%です。実際にはもう少し高いでしょうが、それにしても25%あるかどうか・・・。記事によると、今年の総会で買収防衛策の更新期限を迎えるようです。これ、更新するのはしんどいですね。安定株主比率が高くない割に、外国人株主比率が高すぎます。先日のコラムで触れたGMOインターネットも、社長が40%の株式を保有しているものの、外国人株主比率が30%以上あったことから、買収防衛策の廃止に関する株主提案に44%もの賛成票が集まりました。平和不動産の株主構成だと、買収防衛策の更新議案が否決されるリスクは高いと考えます。

 平和不動産を買収することは可能か?敵対的であっても、買収することは可能でしょうね。まずは今年の株主総会で買収防衛策更新議案を否決し、その後、敵対的TOBを実施。ただし、外国人株主に応募してもらう必要があるので、価格はある程度高い価格にせざるを得ません。乱暴な言い方ですが「平和不動産は金を積めば買える」ということです(どこの会社も同じと言えますが)。

 さてどうしましょうか?ホワイトナイト?記事にはありますが、これは平和不動産が決めることではありません。平和不動産がお願いして、相手方が決めることです。では、こういう株主構成になってしまった以上、自社では守りきれないということでしょうか?難しいけど、できなくはないと思います。それをやるには経営陣の抜本的な意識改革が必要だとは思いますが。買収者はなぜ当社をターゲットにするのか?をよく考えれば、守り方は自ずとわかるはずです。

 さて、買収防衛策更新議案が否決されたらどうしましょうか?また来年の総会にかけましょう。ただ、来年の総会にかける前に買収されてしまったらお終いです。

 

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