2018年01月12日

No.246 東栄リーファーラインのMBO不成立

 MBOの実施を公表していた東栄リーファーラインですが、本日、TOBの結果が公表されました。TOB期間は11月9日から1月11日まででTOB価格は600円。途中、旧村上ファンドによる買い増し、第二位株主からの臨時株主総会の開催請求などでもめていました。以下は、今回のTOBの成立条件です。3,689,400株の応募が集まらないとTOBは不成立です。

 結果は???

 はい、不成立!失敗しましたね・・・。まあ、そもそも、旧村上ファンドによる株式取得などが影響し、市場株価はTOB価格の600円を大きく上回って推移していましたから。

 1月10日は年初来高値である826円を付けました。そりゃあ、応募が集まらなくて当然ですね。私もまだ保有しています。今日は大幅に下げていますが、ま、旧村上ファンドがこれから騒ぎ出すでしょう。なんなら株主総会にも出てみようと思います。ところで、今回のTOBへの応募株数は2,520,429株となっていますが、誰が応募したのでしょうかね?

 公開買付届出書を見ると、東栄開発と日本水産は応募することに合意していたそうで、その株数は673,050株です。また役員の一部も合意しているそうで、その株数は176,627株です。合計849,677株です。応募株数2,520,429株から849,677株を引いた1,670,752株がこれらの方以外からの応募ということになります。誰でしょうか?法人株主1,370,800株から東栄開発と日本水産の合計を引いた697,750株は応募していそうですね。では、残り973,002株は?上位株主として登場する三井住友銀行247,000株、三井住友海上247,000株、東京中小企業投資育成209,000株、宮崎潤氏168,000株、宮崎清吾氏163,000株、商工組合中央金庫143,000株を合計すると、1,177,000株です。だいたい、会社の安定株主と思われる方々が応募したということでしょうね。

 しかし、旧村上ファンドの登場により今回のMBOは失敗に終わりました。敗因は何だったのでしょうか?間違いなく、価格です。1株当たり純資産885円に大きく届いていないTOB価格600円というのが問題だったのではないでしょうか。そこに目をつけたのが旧村上ファンドです。はっきり言って東栄リーファーラインの時価総額は44億円と大きくありませんから、TOB価格を引き上げたところで、旧村上ファンドが大儲けできる訳ではありません。にもかかわらず旧村上ファンドは東栄リーファーラインをターゲットにしました。そして、TOB不成立にまで追い込みました。これでまた旧村上ファンドにトラックレコードができました。「不当に安いMBOを不成立に追い込んだ正義のファンド!」と。

 緊張感のある経営がますます必要になってきました・・・。

 

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