2018年01月29日

No.257 関心はないかもしれませんが三信電気

 三信電気という会社、皆さん覚えていますか?黒田電気と同業で、黒田電気と同じように旧村上ファンドにたくさん株式を買われている会社です。1月25日にまた旧村上ファンドグループの一員であるC&Iホールディングスが変更報告書を提出しました。保有割合は35.13%から36.21%に上昇しました。三信電気株の大量保有報告書を旧村上ファンドグループが提出したのは、2015年6月29日のことです。提出者は村上世彰氏(南青山不動産が共同保有者)で、保有割合は5.09%でした。以降、ドンドン買い増された訳ですね・・・。残念ながら、三信電気は終わりました。36%も持たれてしまった以上、もうなす術はありません。あとは役員が一致団結して玉砕戦法を取るしかありませんが、おそらくできないでしょう。大量保有報告書が提出される直前の株主構成を見てみましょう(2015/3期)。

 さて、この株主構成で買収防衛策を株主総会にかけて可決できたでしょうか?ちょっと厳しかったでしょうね。どのアドバイザーも「この株主構成でも可決できます!」とは言わないでしょう。私でも言いません。でも、私なら別のことを言います。「株主総会で可決できないなら、取締役会決議で買収防衛策を導入しましょう」と。

 どうでしょうか?「え、でもみんな買収防衛策を株主総会決議で導入しているんでしょ?そんな状況で取締役会決議で導入するなんて、株主の支持を得ていない買収防衛策には従わないって村上さんが言うんじゃないの?」「このご時世で取締役会決議で導入するなんて、経営者の保身って言われるんじゃないの?」 

 ってなことをアドバイザーに言われたんでしょうね。で?結局、三信電気はどうなったんですか?なーんにも効果的な対抗策を打ち出せずに、ほぼほぼ旧村上ファンドに一方的に買われちゃったんでしょ?保身と言われようが、リスクがあると言われようが、せめて取締役会決議での買収防衛策導入をチャレンジしておくべきだったのではないでしょうか。旧村上ファンドがルールに従わずに株式を取得してきたかもしれません。その場合は戦えばいいんですよ。防衛策発動です。そうなると、旧村上ファンドは新株予約権発行に対する差止請求をするでしょう。裁判になります。取締役会決議での導入であっても、破ったら発動しますからね。これだけでも相当な抑止効果はあるはずです。

 三信電気は戦わずして36%も株式を持たれてしまい、実質的に負けました。ファイティングポーズすら取らずに、一方的にボコボコにされました。その責任は?アドバイザーですね。アドバイザーが無能だから会社を乗っ取られ、三信電気の従業員が路頭に迷うかもしれないのです。一緒になりたくない相手と経営統合させられるかもしれないのです。助ける方法を知らないのならアドバイザーを引き受けるんじゃない!無責任極まりない・・・。アドバイザーは顧客のために仕事しろ!カネのために仕事するな!です。

 もちろん、あの株主構成ですから、誰が対応しても負けた可能性はあります。しかし、戦い方がよくない。なーんにも防戦しないで一方的に買われて負けるなんてあり得ません。まさにバットも振らずに見逃し三振!三信電気だけに!おあとがよろしいようで・・・。

 

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