2018年02月16日

No.270 中国塗料が次の餌食?

 旧村上ファンドの餌食になりそうです。旧村上ファンド系であるオフィスサポートが2月15日(木)に中国塗料の大量保有報告書を提出しました。保有割合は5.20%です。取得資金の合計は3,390,863千円で、保有株数は3,594,200株なので、1株当たりの取得金額は943円です。中国塗料の最近1年間の株価は以下のとおりです。

 2017年10月中旬に大きく下げていますね。経常利益予想を下方修正したことが要因のようです。10月下旬以降、出来高が増えているような感じですね。さて、株主構成は?

 法人株主10.09%、広島銀行4.72%、明治安田生命2.90%、三菱東京UFJ銀行2.25%の合計19.96%が外部から見た安定株主比率です。しかし、外国人株主比率の高い企業ですねえ。会社とアドバイザーが考えつく防衛行動は限られるでしょうね。たぶんこれから会社はまず主幹事に相談するでしょう。そして間違いなく「様子を見ましょう」というアドバイスを受けることでしょう。様子を見ても何も変わりません。変更報告書がドンドン提出される様子を、指をくわえて見てどうするんですか。様子というか状況をきちんと見るのは当たり前で、それに加えて何を検討し、何を実行するかが防衛戦略というものです。「様子を見ましょう」とアドバイザーが言った時点で、そのアドバイザーを信用しない方がよいです。何も知らないアドバイザーほどあたかもプロのように「社長、落ち着いてください。まずは様子を見ましょう」とよく言います。証券会社の担当者なんて、有事のことなど何も知りませんから。

 中国塗料の時価総額は約660億円ですから、旧村上ファンドが影響力を与えられる水準まで株式を買うのは可能でしょうね。30%~40%の水準をどうせ目安にしているのでしょう。ですから、早めに対応策を検討して実施しないと、間違いなく痛い目をみます。しかし、なぜ中国塗料が旧村上ファンドのターゲットになったのでしょうか?そういえば、昨年、海外で塗料メーカー?のアクゾ・ノーベルが買収提案をされていたような・・・。調べてみると、米PPGインダストリーズが蘭アクゾ・ノーベルに対して263億ユーロ(3.3兆円)の買収提案をしていましたが、取り下げたようです。業界再編が期待できるから旧村上ファンドが目をつけたということでしょうか?

 また、四季報を見ると「塗料3位。船舶用は国内シェア6割、世界2位。海外に製販16社。中国中心のアジアが最大市場」とあります。塗料業界3位なんですね。じゃあ、1位と2位は?日本ペイントHDと関西ペイントでしょうか。アクティビストが業界3位の企業を狙ったケースはありますね。そうです。エフィッシモが発行済の38%を取得した川崎汽船ですね。旧村上ファンドも塗料業界を再編するために中国塗料を狙ったのかもしれませんね。そうなると、買収防衛策を入れないと、黒田電気と同じ目にあいます。※すみません。その後チェックしたところ、中国塗料は買収防衛策を導入していましたが廃止しました。追記します。

 む?そういえば、日本ペイントHDって、筆頭株主のウットラムから株主提案をされている企業ですね。日本ペイントはウットラムから6人の取締役選任に関する株主提案をされており、定款上の役員の枠は10人なので、選任されれば支配されます。ま、すでにウットラムは日本ペイントHDの4割弱の株式を保有していますが。日本ペイントは昨年末に米塗料大手アクサルタ・コーティング・システムズを1兆円超で買収する交渉を進めていましたが、最終局面で断念しました。これに関してウットラムは「(やめたという判断は)よかった」と述べています。しかし、新聞報道などを見ると「何よりも塗料業界は世界的な再編が起きており、日本ペイントHDクラスの規模で欧米の巨大企業に対抗するのが難しくなりつつある。塗料世界首位のアクゾ・ノーベルや米PPGインダストリーズなど上位3社と日本ペHDの規模の差が広がっているからだ。業界は規模拡大によるコストメリットが働きやすく、買収でシェアを拡大できれば価格決定権でも強い立場を構築できる。」などとあります。一般論ですが、ウットラムは日本ペイントHDに対して「巨額買収はやめろ。しかし、適切な規模のM&Aなら進めろ」と思っているのかもしれません。であれば、中国塗料なんかは少々規模が小さいかもしれませんが、格好のターゲットかもしれません。そういう読みで旧村上ファンドは中国塗料に目をつけたのかもしれませんね。そういえば、株主提案をしているウットラムってどこにある会社なのでしょうか・・・。まあ!シンガポールですって!あれ?村上さんってどこに住んでましたっけ?

 私、旧村上ファンドフリークなので、彼らの動向は毎日チェックしています。あ、お会いしたいとは思いませんが・・・。

 

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