2018年02月21日

No.274 中国塗料の株主総会に出てみよう!~欲はこわい~

 旧村上ファンドグループであるオフィスサポートが大量保有報告書を提出した中国塗料ですが、2月15日(木)に提出されたので16日(金)の株価はおそらく寄付きから高くなるだろうと思っていました。でもそれほど上がらなかったし、旧村上ファンドが株主総会でどのような行動に出るのか関心もありますから、100株だけ取得しました。取得価格は959円です。9:00ちょい過ぎに買ったところ、その後、ドンドン価格が上昇しました。2月20日(火)の終値は1,091円です!「総会出席が主目的だったけど、ちょっとは儲かりそうだ!ムフフフ!」と思っていたところ、よーく四季報を見てみますと中国塗料は「本社:広島県大竹市明治新開1-7」 ???本社は広島???

 総会も広島のようです・・・。軽井沢から5時間34分かかります・・・。交通費も片道23,300円・・・。さて、売却しますか。近々家族をディズニーシーに連れて行くのでその旅費の一部として充当します・・・。中国塗料という名前で気付くべきでした。欲に目がくらんで条件反射で買ってしまいました・・・。

 さて、中国塗料はこれからどういう対応をするでしょうか?まずは主幹事や顧問弁護士に相談するでしょう。では、先日のコラムで指摘しましたが、どういうアドバイスをするでしょうか?まず主幹事の担当部署は広島支店でしょうね。広島支店の担当者は東京の専門部署に連絡してアドバイスを求めるでしょう。さて、東京の専門部署は広島に行くでしょうか?たぶん、この時点では行かないでしょうね。理由は「遠いから」です。東京の専門部署は「大量保有が出たと言ってもまだ5.2%ですよね。とりあえず、ジタバタせずに様子を見ましょう、と伝えればよいのではないでしょうか」程度の回答しかしないでしょうね。

 はい、ここで初動を大きく間違えました。ダメですよ、広島だろうが沖縄だろうが、行かないと!中国塗料の心境を考えてみましょう。「なんでうちの会社が村上ファンドに狙われるの?どうすればいいの?うち外国人株主比率が高いよね?どうする?どうする?」となっていると思われます。不安なのです。不安だし、何をすればいいかわからないし、とにかく安心したいし・・・。アタマの中がごちゃごちゃになっており、整理できていない会社に「ジタバタせずに様子を見ましょう」というアドバイスをすることは間違っています。まずは整理してあげないといけません。それに、旧村上ファンドの動きの様子など、もう見る必要はありません。これからドンドン買い増してくるに決まっていますから。

 では私ならどうするか?当然、行きますね。広島に。1泊で。とりあえず朝一で東京を出て、昼は広島でお好み焼きを食べます。そして昼過ぎから2時間程度ミーティングをします。夜はこの時期ですから、カキを食べます。当然、支店の方におごっていただきます。

 ま、冗談はさておき、まずは、これまでの旧村上ファンドの行動を整理し、これから中国塗料に対して想定される行動をまとめます。旧村上ファンドに狙われた会社の、狙われた理由や背景を分析したものを提示し、そして、実質買われてしまった会社は何が敗因だったのかを説明します。そのうえで、「貴社は、現時点では本当に導入するかどうかは別として、真剣に買収防衛策の取締役会決議による導入を検討すべきです」と伝えます。即日で「頼りになる人だ!」と思っていただき、速攻で信頼関係を構築します。そして、後日、会社とはきちんと契約を締結した上で責任のあるアドバイスを開始します。責任のあるアドバイスをしますから、相応のフィーを当然請求します。相応のフィーをいただく以上、必ず救出します。

 先日のコラムで私は「買収防衛策を導入すべき」と申し上げましたが、買収防衛策をすでに導入している企業のようです。

 法人株主10.09%、広島銀行4.72%、明治安田生命2.90%、三菱東京UFJ銀行2.25%の合計19.96%が外部から見た安定株主比率です。外国人株主比率が40%ですから、株主総会に買収防衛策継続議案をかけても否決される可能性がありますね。理屈はなかなかむつかしいですが、取締役会決議で継続しましょう。 

でも、買収防衛策の導入以外にも企業防衛の手段ってあるんですよ。簡単なことなんです。なぜ旧村上ファンドは中国塗料の株式を買おうと思ったのでしょうか?業界再編が期待できるから?それは当然あるでしょうね。でもそれに加えて、もう一つ理由があります。その理由がわかれば、対応策を思いつくはずです。最近、いつも手の内をさらしてきましたが、今回は内緒にします。答えがわかった方はメールしてください。不正解の場合でも正解をお教えします。

 

このコラムのカテゴリ

関連する
他のコラムも読む

ソニーが65.04%を所有するソニーフィナンシャルホールディングス(SFH)にTOBをかけ、完全子会社化します。私が気になっているのはソニーのアドバイザー体制です。FAはゴールドマン・サックスで、公開買付代理人は野村證券です。詳しく見ていき ...

続きを読む

皆さんは準有事の状態、有事の状態に陥ったとき、証券会社に相談することがありますよね?証券会社の誰に相談しますか?おそらく、まずは担当者でしょう。その担当者がどういう意見を言うかも重要ですが、ポイントはそこではありません。

続きを読む

カテゴリからコラムを探す

月別アーカイブ