2017年06月13日

No.105 まだ終わらないソレキア~ベジさん、また追加取得~

 佐々木ベジ氏がまたソレキア株式を市場で取得しました。前回、変更報告書を提出したのは5月31日でしたが、今回は昨日6月12日に提出しました。まずは5月31日時点で提出された変更報告書に記載されている取得状況を見てみましょう。

 5月23日の取得はTOBによる取得ですね。そして、24日と25日は市場取得です。2016年3月期末のソレキアの総議決権は847,200株ですので、佐々木ベジ氏とフリージア・マクロスの議決権割(307,799株+58,500株=366,299株)は43.2%となりました。ちなみにTOB終了時は約40%でした。

 そして、6月12日に提出された変更報告書に記載されている取得状況は?

 5月25日(木)以降も市場で取得していますね。毎営業日、取得しています。佐々木ベジ氏の保有株数は320,299株となりました。フリージア・マクロスの保有分に変化はありません。佐々木ベジ氏らの議決権割合は(320,299株+58,500株)÷847,200株=44.7%となりました。当初、TOBで集める最大の株式数は議決権ベースで48.77%(フリージア・マクロス保有分をあわせて)としていましたので、まだ市場取得するつもりなのかもしれません。ただ、流動性が低いため、買おうとすると株価が跳ね上がります。いずれにせよ、佐々木ベジ氏の執念を感じます。安定株主が存在する日本企業であっても、信念と執念さえあれば、敵対的TOBは成功してしまいます。佐々木ベジさんが証明してしまいました。

 現在のソレキア経営陣の心境はどうなのでしょうか?聞いてみたいですね。反対の意見表明では散々に佐々木ベジをこき下ろしていましたが、今はどうなのでしょうか?私、コラムで「あんまり佐々木ベジを悪者扱いすることはやめたほうがよい。本当に買われたときにどうするの?」と指摘したと思います。こういう事態になってしまうかもしれないので、あんまり買収者のことをこき下ろさない方がいいのです。後で痛い目を見る可能性がありますから。以下、最近のの日々の出来高と佐々木ベジ氏の取得株数を比較した表です。

 

5/24(水)

5/25(木)

5/26(金)

5/29(月)

5/30(火)

5/31(水)

6/1(木)

6/2(金)

6/5(月)

出来高

25,100

14,600

1,000

800

400

500

4,200

7,900

7,400

取得株数

12,700

9,500

800

500

200

100

2,700

5,600

2,600

ソレキアの出来高をみると、6月6日以降は最近のソレキアにしては割とあるようなので、佐々木ベジ氏が追加でまた取得している可能性が高いですね。

議決権ベースで約45%を佐々木ベジ氏に保有されてしまいました。はっきり申し上げますが、もう打つ手はありません。実質、ソレキアのオーナーは佐々木ベジ氏です。創業一族はオーナーではなくなりました。オーナーである佐々木ベジ氏の言うことは絶対です。

ソレキアに対する佐々木ベジ氏の敵対的TOBは完全に成功したと言えます。アドバイザーの戦略ミスによってソレキアは買われてしまいました。これが、買収防衛策を導入しなかった会社の結末です。常日頃から敵対的買収への備えをせず、フィナンシャル・アドバイザーの選択をミスした会社の末路です。正確に申し上げると、まだ結末は迎えていません。これからもっと厳しい現実が待ち受けていますので。

上記は買収防衛策廃止企業がよく使っている公表文章です。買収防衛策を廃止しても株主が適切に判断するための情報提供を求めてもかまいませんが、佐々木ベジがまともな回答をしましたか?買収防衛策を廃止したけど株主が検討するための時間を確保する?いやー、すでにTOB始まっていますから、時間を確保しようがありません。買収者にTOB期間の延長を求めますか?敵対的TOBを実施してくるような買収者が「わかりました。じゃあ延長してあげましょう」などとお人よしなことを言ってくれる訳がありません。敵対的買収者ですよ。性善説は通用しません。相手は「乗っ取り屋」と世間から叩かれてもよいという覚悟をした上で敵対的買収を仕掛けてくるのです。そのような相手にきれいごとでは太刀打ちできないのです。

 

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