2023年03月28日

No.1503 MBO営業が増えますよ~!

以下の記事をご覧ください

アクティビストが上場廃止に追い込む「PBR1倍割れ」企業…ぬるま湯経営大国の日本!

https://news.yahoo.co.jp/articles/62e8d4352321e797d4a37857f5b20d5d5fe6ed97

上場会社はアクティビストの行動によって上場廃止になど追い込まれませんよ。上場会社を上場廃止に追い込むのは金融機関です。これから以下のように金融機関によるMBO推進営業が活発化します。※ここで言うMBOは「上場会社によるMBO」のことです。未上場会社が上場前に資本政策として実施するMBOは含めていません。

「社長!アクティビストの行動が過激化しています!貴社が明日攻撃を受けても不思議なことではありません。今年の6月総会で株主提案をされるかもしれませんし、可決されたら目も当てられません。また、敵対的TOBも増えていますが、買収防衛策を導入するのも困難な時代になりました。貴社は株式による資金調達も必要ありませんし、今や上場しているメリットは享受できず、リスクしかない状態です。敵対的TOBやアクティビストの存在を考えると、MBOを真剣に検討したほうがよいと思われます!」

私、証券会社に入社して、長いこと買収防衛に関連する仕事についてきましたが、1度もMBOを提案したことはありません。イヤなんです、MBOが。上場会社に対して未公開会社に戻れって言いたくないんです。株式会社は上場してナンボと思っていますので。未公開会社に戻るための儀式であるMBO。なんだかお葬式みたいでイヤなんですよ。

でもこれから金融機関がMBOを積極的に進めてきますよ~。アクティビストが大挙してやってくる、東証もPBR1倍割れ企業に厳しい目を向けている、上場してもリスクばかりでメリットがない、MBOすべきだ、と・・・。

例えば「上場することの一番のメリットは何でしょうか?資金調達ですよね?でも貴社は、資本市場を使った資金調達をしたことがありますか?上場時のエクティファイナンス外に一度も資本市場を使った資金調達をしていないのです。上場することのメリットをほとんど享受せず、リスクだけ負っているのですよ!」と私なら言いますね。この「メリットは一切享受していないのに、リスクだけ負っている」ってのがポイントです。こういうことを言われると「あ!確かにそうかも!」と思ってしまいがちなのです。

皆さん、誤解してはいけないのが、MBOをしたら敵対的買収をされなくなるし、アクティビストにも目を付けられなくなる、ということは確かにそうです。ただよく考えてみてください。貴社がMBOをするということは、貴社が買収されるということです。MBOってマネジメントバイアウトですけど、貴社のマネジメントがMBO後に貴社株式の過半数を持つのでしょうか?持ちませんよね?普通、資金の出し手である投資ファンドが過半を持ちますよね?仮に過半数を持てたとして、その資金はどこから調達しますか?過半数を持てたけど、その資金は銀行借り入れで、株も担保に入っている。その会社の支配者はマネジメントではなく、マネジメントにお金を貸している金融機関です。

MBOをするということは、誰かに買収されることを受け入れるという意味です。会社の意思決定権や役員人事権を投資ファンドや金融機関に握られるということでしょう?

特定の誰かに支配権を取られるより、上場していて株主が多種多様であったほうがよいのです。そもそもMBOなんて米国の金融機関が編み出した錬金術でしょう?そんなことを上場会社の経営者がやるべきではない。

なによりも株式会社である以上、上場してこそナンボ!

 

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