2016年12月15日

No.35 そろそろ・・・ など2コラム

■そろそろ・・・

 今年も終わりですが、年が明けたら来年度の業績見通しの策定などが始まるでしょうか。それと、株主総会議案の検討なども早い会社では始まるタイミングではないでしょうか?来年の株主総会議案はどうしましょう。

 私の領域でお話しできることは、コーポレートガバナンスをどうするか?買収防衛策をどうするか?の主に2つです。

まずコーポレートガバナンスですが、今のご時世ですと、「監査等委員会設置会社に移行するかどうか」が話題になると思われます。オプトホールディングという会社が今年3月の株主総会で監査等委員会設置会社に移行しようとしたところ、RMBキャピタルという投資家が反対しました。理由は、「日本ではコーポレートガバナンスの目的が誤解され単なる業務改善のための内部管理システムのように捉えられている」「指名・報酬委員会がない」「これまでの社外監査役を社外取締役として監査等委員に横滑り人事をしている」などです。他にも、「オプトは買収防衛策を複数年にわたって導入。また、自己株式を消却しない。株価が低迷、十分な手元流動性があるのに、市場を通じた自己株取得もしない。」などとも批判しています。監査等委員会に移行した会社は2016年7月13日時点で637社だそうです(上場企業の約2割)。常勤だった監査役が非常勤となり、また、単独での調査権限がなくなるため、監査機能がかえって低下するのではないかという指摘もあり、独自に常勤の監査等委員を選任する会社もあるようです。

ここで1つ疑問なのが、なぜ委員会等設置会社にしないのか?という点です。すみません、今は「指名委員会等設置会社」ですね。どうも2003年の改正があたまから離れないので・・・おそらく、人事権と報酬を社外取締役にゆだねるのは怖い、ということでなのではないでしょうか?まあ、確かに。

皆さん、なぜコーポレートガバナンスを意識するのでしょうか?答えは「投資家がうるさいから」でしょうか。それは言い過ぎですかね。でも、投資家があれこれと文句を言わなければ、監査等委員会設置会社に移行しよう、とか、常勤の監査等委員を設置しよう、とか悩まないですよね。

コーポレートガバナンスを議論する上で重要なポイントは、自社の株主構成です。外国人株主比率が1ケタの会社であれば、外国人株主を意識したガバナンスは必要でしょうか?必要なくないですか?

怒られるかもしれませんが、更に踏み込みます。監査等委員会設置会社って、必要ですか?どうにも中途半端なガバナンス制度に見えてしまいます。ただし、「いやいや、最終型とは思っていないよ。過渡期だよ。」ならわかります。いずれは指名委員会等設置会社に移行するつもりだけど、いきなりは難しいからまずは監査等委員会設置会社・・・

自分で書いておきながら、なんだかドツボにはまってきました。おそらくガバナンスの議論は神学論争であり、答えはないのでしょう。ただ、「本当に監査等委員会設置会社のままでよいのか」という議論を継続することが重要ではないでしょうか。

■姚振華という人

 2016年12月10日(土)の日経に「中国大手に的 株買い集め 現地投資家・姚氏 富豪4位に急浮上」という記事がありました。記事の中では「野蛮人」とも記載されています。姚氏が知名度を上げたのは不動産大手の優良企業、万科の株式を25.4%も取得したことがきっかけらしいです。

 この姚氏ですが、私は知りませんでした。このケース自体、新聞記事になるまで知りませんでした。ですので、この方が日本株にまで手を出しているのかどうかはわかりません。

 ただ、1つ言えるのは、やっぱりエフィッシモだけではないということです。エフィッシモのような投資家は今に始まったことではありません。古くからいます。そして今でも世界のいたるところにいます。

「右肩上がりの成長が続き、各社が利益を享受できた時代には起きなかった、他社の株式を突如買い集める動き。低成長自体に入り、日本でも起きた資本をむさぼるマネーゲームが中国でもいよいよ現実のものとなり、中国企業に新たな難題を突きつける可能性がある。」

 記事の最後の部分を引用します。「日本でも起きた資本をむさぼるマネーゲーム」とあります。細かい点で恐縮ですが「日本でも起きている」が正確です。過去のことではありません。そして「マネーゲーム」とありますが、投資家からすると「ゲーム」ではありません。それが仕事です。多額の資金を投下して株式を取得し、株価を上げるために経営陣に対して様々な要求をし、株価が上がったら売却する。これを「マネーゲーム」と呼んでいますが、そうではありません。「ゲームをやっているヤツら」と捉えてしまうと危険です。彼らはゲームではなく「仕事」として真剣に投資し、経営に意見を言います。

 「所詮マネーゲームをやってるんだろ?」と考えてしまうと、えらいことになります。真剣勝負を挑んできている投資家ですから、狙われたからにはこちらも真剣に対処しないとひどいことになります。

 エフィッシモはシンガポールの投資家ですが、運営しているのは基本日本人の方々ですから、日本語が通用します。日本の企業文化も理解はしているでしょう(認めてくれるかは別ですが)。でも、日本語が通用せず、日本の企業文化も理解できない人たちが日本株に目をつける可能性があります。そうなると本当に大変です。

 エフィッシモだけではありません。いろんな投資家が世界にはいます。

 冒頭申し上げた通り、この記事にある姚氏について私は知りませんでした。インターネットで検索してもあまり情報がヒットしません。もしご存じの方がいらしたらぜひ情報を教えてください。

 

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