2017年12月15日

No.230 テーオーシー、エフィッシモの保有割合16.74%→3.65%

 先日のコラムで取り上げましたが、テーオーシーが実施した自己株取得にエフィッシモが応じました。12月13日に提出された変更報告書によると、エフィッシモの保有割合は16.74%から3.65%に低下しました。ほぼほぼ、エフィッシモはテーオーシーからいなくなったということですね。2008年11月に大量保有報告書が提出されましたから、その間、9年です。長かったですね。よかったですね。でも、本当によかったのでしょうか?エフィッシモはなぜテーオーシーを狙ったのでしょうか?私もすっかり忘れていましたが、テーオーシーはダヴィンチアドバイザーズにその昔、敵対的TOBを仕掛けられた会社でした。もともとテーオーシーはMBOを公表していました。2007年4月6日から1株当たり800円で実施しましたが、TOB価格が安すぎるとして、ダヴィンチがカウンターTOBを1,100円で実施することを公表しました。詳しくは以下のロイターの記事をご覧ください。

https://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-27003920070723

 結果的には両社のMBO、カウンターTOBは不成立に終わったと記憶しています。こういう経緯があったから、エフィッシモがテーオーシーに興味を持ち、株式を取得するに至ったということかと思います。

 テーオーシーって、安定株主比率の高い会社ですね。ニューオータニ、大谷という名前の付いた株主・・・なんだか「またMBOやるんですか?」という株主構成に見えてしまいます。エフィッシモというアクティビストがテーオーシーから去りましたが、新たなアクティビストがやってこないとも限りません。私だったらこれを機に、買収防衛策を導入しておきます。念のためにです。二度あることは三度ありますから。私がアクティビストなら「あの会社を買ったら、最後は自社株買いで対応してくれるんだろ?」と見なします。

 内部から見た当社ではなく、外部から見た当社をいかに冷静に分析するかが重要です。「アクティビストは業界のことを何もわかっとらん」というのは簡単なのですが、でも彼らがどう考えるかがポイントなのです。だから、ある意味、機関投資家との意見交換は大切です。IRの場でも貴社の業績や経営計画を伝えるだけではなく、機関投資家が貴社の業界をどう見ているか、どういう再編を予想・期待しているのか、業界における当社の位置付けをどう考えているか、などです。「なるほど。素人はそういうふうに当社の業界を見ているのか」と気付かされることもあるはずです。質問の仕方はIRの方の腕の見せ所です。

 何もわかっとらんアクティビストに業界再編など主導されたら、えらいことです。めちゃくちゃにされます。

 

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