No.308 3月総会シリーズ～帝国繊維に対する株主提案～

　帝国繊維は株主であるスパークスから株主提案をされた会社です。私のコラムでも何度か触れています（No.294、254、78）。とりあえず、帝国繊維の株主構成を振り返ります。2017年12月末のものです。

　法人株主35.30%、損保ジャパン5.84%、みずほ銀行4.77%、明治安田生命3.68%の合計50.09%が安定株主比率です。高いです。株主提案しても可決されることはありません。ちなみに、スパークスの保有株数は1,664,800株（保有割合6.13%　議決権16,648個）です。

　会社提案の配当が1株当たり40円（配当総額約10億円）に対して、スパークスの提案は1株当たり90円（配当総額約23億円）ですから、倍出せ！ということですね。帝国繊維の財務体質ですが、現預金6,778百万円＋有価証券12,000百万円＋投資有価証券24,726百万円－有利子負債200百万円＝43,304百万円です。ちなみに、時価総額は57,737百万円です。・・・スパークスでなくとも提案したくなるでしょうね。

　さて、各議案の賛成率ですが、以下のとおりです。

会社提案である第1号議案「剰余金の処分の件」の賛成率が79.6%しかありませんね。反対個数が45,309個ですから、株主提案である第3号議案「剰余金の配当の件」の賛成個数45,230個とほぼ同じですね。株主提案に賛成した人たちが会社提案に反対したということです。

ここで安定株主の議決権個数ですが、134,620個です。株主提案である第3号と第4号議案（取締役任期を2年から1年に短縮する定款変更議案）ですが・・・

決議事項	賛成（個）	反対（個）	スパークスを除いた 賛成（個）	安定株主を除いた 反対（個）
第3号議案	45,230	177,748	28,582	43,128
第4号議案	64,672	163,233	48,024	28,613

うーん。安定株主のおかげですね・・・。安定株主がゼロになる訳ではありませんから、仮に来年株主提案をされても可決されることはないでしょうが、株主還元方針は変更した方がよいと思います。また、スパークスの議決権を除いて考えても、第4号議案である取締役任期の短縮については多数の賛成があり、反対個数よりも多い訳です。少なくとも取締役任期の短縮はすべきでしょうね。「うちの会社は信念をもって任期を2年にしているんだ！」　いや、株主からうるさいことを言われるくらいなら「株主の皆様の意見を踏まえて任期を1年にします」と言っちゃった方が手間やコストがかかりません。それに、株主の意見をちゃんと聞く会社だと見てくれるかもしれません。株主提案をされると手間とコストがかかるのですから、支障のない議案については対応しちゃったほうがラクです。

　もう少ししたら6月総会企業に対する株主提案がポツポツと出てくるでしょう。株主提案は適時開示事項ではないので、公表はされません。ただ、アクティビスト側がおおやけにする可能性もあります。ネガティブキャンペーンを展開してくるようなアクティビストからの株主提案だったら「アクティビスト側が公表するかもしれないから、こちらから自主的に公表しておこう」と会社側が考えて公表することもあります。

注目は旧村上ファンドグループが約38%の株式を保有している三信電気に株主提案をするかどうかです。三信電気の昨年の総会は6月23日でした。今年も同時期と考えれば、来週後半から再来週前半くらいには提案するかもしれませんね。要注目です。もちろん出席します。私、株主ですから。会社側支持の議決権行使をしたいと思います。