2018年04月24日

No.317 ストラテジックキャピタル、蝶理<8014>への株主提案提出を公表

村上ファンドの創業メンバーの一人である丸木氏のストラテジックキャピタルが蝶理に対して株主提案をしたそうです。

http://www7.webcas.net/mail/u/l?p=lll5a3_NBX-Z8VyJX

 株主提案の内容は

 ちなみに、ストラテジックキャピタルは蝶理に対して2016年から毎年株主提案を行っています。もはや恒例行事ですね。蝶理の大株主の状況を見ると、蝶理の筆頭株主は東レです。東レは蝶理の株式を51.25%保有しています。つまり、蝶理は東レの上場子会社ということです。ということで、ストラテジックキャピタルの株主提案は可決されることはありません。まあ、東レが賛成すれば可決できますが・・・。東レがアクティビストであるストラテジックキャピタルの株主提案に賛成することはないでしょう。ではなぜ可決される可能性のない株主提案をストラテジックキャピタルは毎年行っているのでしょうか?

 東レの株主構成を見てみましょう。

 法人株主8.48%、日本生命4.36%、三井生命2.20%、三井住友銀行1.84%の合計16.88%です。東レの時価総額は1兆6,000億円以上ありますから、こんなもんでしょう。東レは外国人株主比率も28.99%と割と高いです。東レは安定株主比率が低く、外国人株主比率が高い会社なのです。

 さて、東レの外国人株主が蝶理に対して行われている株主提案を見たらどう思うでしょうか?「東レにとってもいい提案じゃないか!東レはストラテジックキャピタルの株主提案に賛成すべきだ!」と思わないでしょうか?ストラテジックキャピタルはそのような外国人株主の行動に期待しているのではないでしょうか?ISSに目をつけられたらどうでしょうか?「上場子会社に対する株主提案について、正当な理由なく親会社が反対した場合、親会社の経営トップの選任議案に反対推奨する」と言い出したら?子会社を守ってあげたいという思いが、親会社の首を絞めかねないことになります。ストラテジックキャピタルは、蝶理に対する株主提案を可決させるにあたって、多数のステークホルダーを説得する必要はないのです。東レが決めさえすれば可決できますから。そして東レを動かすには、ISSを動かせばよいだけですから。

 実は上場子会社というのは守られているようで、守られていません。また、上場子会社が抱えているリスクは、親会社も抱えているということです。会社員時代であれば「どうですか?やっぱり上場子会社については、完全子会社化するか手放すかを決める時期に来ていると思いませんか?ついては●●證券で!」と営業しているところです。

 なお、このご時世、外国時株主比率が高い会社に対して株主提案がされた場合、可決される可能性はかなり高まっていると言えます。

 

このコラムのカテゴリ

関連する
他のコラムも読む

ちょっと遅くなってしまいましたが、ストラテジックキャピタルに天下り関連の件で株主提案をされていた日証金ですが、まあ予想通り株主提案は否決されました。私の予想は以下のとおりでした。

続きを読む

週刊ダイヤモンド「最強投資家が狙う割安株」P55にストラテジックキャピタルの丸木さんのインタビュー記事があります。非常に興味深い内容です。丸木さんは野村證券出身で、1999年に村上ファンドの立ち上げに参加された方です。村上ファンドの創業メン ...

続きを読む

カテゴリからコラムを探す

月別アーカイブ