2018年04月27日

No.321 また日本で敵対的TOBが開始されました

3751日本アジアグループという会社が1420サンヨーホームズという会社にTOBを実施することを昨日公表しました。日本アジアグループは2018年2月上旬からサンヨーホームズ株式を市場で取得しているそうで、すでに発行済株式総数の4%を保有しています。

https://www.japanasiagroup.jp/

TOB価格は1200円(昨日の終値は848円)で、買付け後の所有割合が33.34%に設定しています。すでに4%保有していますので、本TOBにより発行済株式総数の29.34を取得することを目的としています。今回のTOBは過半数を取得することが目的ではなく、「協業に向けた資本関係のさらなる強化」が目的だそうです。TOB期間は4月27日(金)~6月12日(火)までの30営業日間です。日本アジアグループのプレスにある「公開買付者と対象者又はその役員との間の合意の有無及び内容」を見ると「該当事項はありません」と書いています。つまり、日本アジアグループはサンヨーホームズの取締役会の賛同なしにTOBを開始したということです。敵対的TOBです。

サンヨーホームズは「日本アジアグループ株式会社による当社株券に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」を昨日公表し、「本公開買付けに関する当社の考えにつきましては、本公開買付けの公開買付届出書の内容等およびその他の情報を分析・検討した上で早急に株主の皆様にご案内させていただきます。株主の皆様におかれましては、当社から開示される情報に十分ご留意いただき、慎重に行動していただきますようお願い申し上げます。なお、本開示資料は、本公開買付けに関する意見を表明するものではありません。本公開買付けに関する当社の意見表明は決定次第改めてお知らせいたします。」と言っています。 http://www.sanyohomes.co.jp/ir/

日本アジアグループのプレスによると、買付価格の検討に当たって第三者機関からの算定書は入手していないと言っていますので、フィナンシャルアドバイザーの有無は不明です。ざっと見た限りリーガルアドバイザーも不明です。

公開買付代理人は三田証券です。三田証券と言えば、佐々木ベジがソレキアに対してTOBを実施したときに使った公開買付代理人です。サンヨーホームズの株主構成は以下のとおりです。

法人株主比率が68.45%もありますから、もちろん過半数を取ることは難しいです。事前に大株主から応募することの内諾を得ているわけでもないようです。そもそも、33.34%も取れるのか怪しい気もします。個人比率も外人比率も高くありませんので。

日本アジアグループはプレスで以下のとおり「本公開買付けの開始に先立って対象者との協議は行っておりません」と書いています。明確に敵対的TOBです。

 今回はソレキアのときと違って、成功するとは思えないのですが・・・。ただ、なぜ株主総会前のこの時期に敵対的TOBなど実施したのでしょうか?法人株主は応募しなかったら自社の株主総会で何と言われるでしょうか?「どうしてプレミアムが付いたTOBに応募しなかったのか、明確な理由を教えてほしい」と質問されたときに、きちんと回答できる株主であればよいですが、持ち合い先だったらどうでしょうか?そういったサンヨーホームズ株式の保有理由をちゃんと説明できない法人株主の応募を期待しているということでしょうか。サンヨーホームズはどういったアドバイザー体制で挑むのでしょうか?主幹事は野村證券のようですから、こういうときは主幹事にお願いするでしょう。

 さて、サンヨーホームズ株式は買いでしょうか?難しいですね。筆頭株主のLIXILが富士通のようにホワイトナイトとして登場するでしょうか?もしかして、LIXILが以前からサンヨーホームズを子会社にしたかった、なーんてことはないでしょうか?ホワイトナイトならぬブラックナイト・・・。

 昨日サンヨーホームズは「これは当社取締役会が賛同したTOBではありませんよ~」「これから検討して意見を表明しますから応募しないでくださいね~」という趣旨の「当座のコメント」を出しました。次は「留保の意見表明」を出すでしょう(開始から10営業日以内)。そしてそこで質問権を行使して、日本アジアグループに質問をします。質問権を行使されたら5営業日以内に対質問回答報告書を提出する必要があります。それを見たうえで「賛否の意見表明」という流れになります。

 今回は買うかどうか悩ましいですね。もうちょっと様子見です。

 

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