2018年05月10日

No.329 意外と買収防衛策を導入していない

 旧村上ファンドやエフィッシモに株式を取得された会社の株主構成や買収防衛策をまとめていたところ、あることに気づきました。狙われた会社のほとんどが買収防衛策を導入していません。

 これは、アクティビストに狙われた会社の一覧です。なお、かなり昔の投資先については表には入れていません。本来契約先にしか提出しませんが、今回は大盤振る舞いです。

ほとんどの会社が買収防衛策を導入していないんですよ。上場会社が約3,600社だとして、買収防衛策導入企業が約400社だとすると、上場企業の約11%が買収防衛策を導入していることになります。そもそも11%の企業しか導入していないのだから、アクティビストの投資先に買収防衛策導入企業が登場しないとしてもそりゃそうだろ?というご意見もあるかもしれません。上表の企業数は58社で、買収防衛策導入企業は5社ですから、割合は8.6%です。ただし、導入している会社については、例えばですが、ベジさん(フリージア・マクロス)に株式を取得された日建工学なんかは最初から買収防衛策を導入していた訳ではなく、ベジさんに株式を取得された後に導入しています。まあ、だから買収防衛策を導入していないソレキアが買収されちゃったんですね。日建工学以外にも、買収者が現れてから買収防衛策を導入した企業があると思いますよ。

 私は皆さんに、買収防衛策の導入を強くお勧めします。私のビジネス、お金のためではありません。そういうさもしい精神を持ち合わせておりません。買収防衛策を導入している企業はターゲットになりにくいのです。これは投資対象となった会社を見てもあきらかです。なぜかというと、買収防衛策を導入している会社をターゲットにしても、時間がかかるし、面倒くさいからです。投資ファンドは効率的に金儲けをすることが重要であり、買収防衛策を導入している企業にお灸をすえるために投資しているわけではありません。日本企業のコーポーレート・ガバナンスの改善のために投資している訳でありません。

会社を食い物にされないために、買収防衛策が必要であると考えます。なお、村上さんの最近のターゲットはわかりやすいですね。安定株主比率が低い会社を狙っています。

 

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