2017年03月29日

No.74 富士通がTOB価格を引き上げ

本日、富士通がソレキアに対するTOB価格を3,500円から4,000円に引き上げました。では、現在の富士通と佐々木ベジ氏の条件を比較してみます。

 富士通が4,000円に引き上げましたから、現時点では佐々木ベジ氏のTOBに応募する人はいないでしょう。勝負は佐々木ベジ氏がTOB価格をいくらまで引き上げられるか、です。まだ佐々木ベジ氏は引き上げられる余地があるので、たぶん引き上げてくるでしょう。

ちなみに、ソレキアは本日、あらためて佐々木ベジ氏のTOBに対する反対の意見を表明しています。ちょっと参考になるので次ページで一部掲載します。

 「短期的な視点による経営施策」とあらためて主張していますが、「じゃあ、富士通の上場廃止を前提とした、BPS6,340円を大幅に下回るTOB価格に賛成する経営陣はどうなのか?短期的な防衛手段に走ったのではないか?」と批判されそうな気がします。まだ「ステークホルダーに対する無配慮な態度」を批判していますが、せっかく富士通が登場してくれたのだから、ちょっと恥ずかしい批判は控えた方がよいと思います。

 今回のソレキアの反対意見で最も注目すべき点は○で囲ったところです。ソレキアは「佐々木ベジはうちが反対の意見表明をした根拠について一切触れていない!」「公開買付け後の経営方針についての補足もない!」と怒っています。さらに、これが不思議です。佐々木ベジ氏の公開買付条件の変更について「本公開買付条件変更は、本公開買付価格と本公開買付期間の変更をするにとどまります」と。絶句です。公開買付けにおいて、株主が最も重視する点はなにか?公開買付価格に決まっています。公開買付価格を変更してきた買収者に対して、対象会社こそが変更された公開買付価格に対してどう考えているのかを述べるべきでしょう。あまり株主を取り残した意見表明をすべきではありません。上場会社である以上、TOBを実施されたら、TOB価格についての考え方を示すべきでしょう。こういうことをやっていると「あの会社、TOBの意味がわかっているのか?」と思われてしまいます。ソレキア経営陣は富士通の全株買収に賛同していますし、富士通がTOB価格を引き上げた以上、争点は価格です。レブロン基準です。ソレキアもTOB合戦になってしまった以上、TOB価格について何ら言及しないという作戦はもう捨てるべきでしょう。逆に捨てないと、「いつか富士通が価格の競り合いで負ける可能性があると思っているから、TOB価格について言及したくないのか?」と思われてしまいます。

※レブロン基準:アメリカでの防衛策には二つの適法基準、レブロン基準とユノカル基準がある。この基準は、買収対象となった会社の経営陣は、会社を売却する場合は、株主の利益を最大化するべく、出来る限り高値で売却すべきである、とするもの。1985年に大手化粧品会社であるレブロン社への敵対的買収をめぐる裁判の中で示された判断である。ウィキペディアより。

 

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