2016年10月18日

No.11 エフィッシモに株式を取得されるかどうかの基準など2コラム

■エフィッシモに株式を取得されるかどうかの基準

 と言っても、明確な数値基準などがある訳ではありませんし、あくまで私の想像です。

 過去は上場子会社などをターゲットにして株式を取得していました。また、取得対象となる企業については、財務体質が非常に健全であるという点もあります。健全というよりは、キャッシュリッチであり、時に保有しているキャッシュや投資有価証券の総額が時価総額を超えてしまっている状態の企業もあります。ようは、過剰にキャッシュや有価証券を持っている企業が対象になりました。エフィッシモの投資先の財務体質を見ると、だいたい実質無借金の会社が多いです。

 今までの投資先から推測すると、資本上位会社が存在する会社や財務体質が健全な会社は投資対象になりやすいということです。

 つまり、資本上位会社が存在する会社=困ったときは資本上位会社が株式を買い取ってくれるであろう会社、財務体質が健全な会社=キャッシュがたくさんあるので最終的には自社株買いで対応してくれそうな会社、ということではないでしょうか?

 特に資本上位会社が存在する会社はわかりやすいです。上場子会社であれば、親会社が買ってくれるだろう、というのは誰でも想像できます。しかし、親会社がいない会社であっても狙われたケースもあります。川崎汽船などは親会社がいません。なぜ買われたのか?誰か買ってくれる会社がいるからではないでしょうか?

 投資ファンドは業界のことを研究していると思います。また、いろんな証券会社のアナリストに業界のことをヒアリングしていると思います。業界分析の結果、「この業界だと、この会社が買収対象になるだろう」と予測して株式を買うのでしょう。日本企業はまだ敵対的買収には踏み切れないと思います。業界2番手の会社が3番手の会社を欲しいと思っても、3番手が了解しない限りは買収しません。でも、そんなところに、突然、投資ファンドが株式を買い始めて、相当程度の割合を占める株主となったらどうなるでしょうか。

 狙われる明確な基準はありませんが、簡単に言えば、貴社の大株主の状況を見て、事業会社が大株主に存在する場合、「困ったらこの会社にホワイトナイトを依頼するんじゃないか」と見られる可能性はあります。また、過去、買収提案を受けたということも狙われる理由になるでしょう。それに加えて、外国人株主比率が高い場合は?非常に買い集めやすいということです。

■9月中間期末の株主構成

 3月決算企業については、そろそろ、9月中間期末の株主名簿が出来上がった頃ではないでしょうか?3月期末と比べて、株主構成に変化はあったでしょうか?

 昨年12月から今年の3月にかけて日経平均は下げましたが、3月と比べて9月の時点ではそれほど大きく変化はしていないように見えます。

 一般的には株価上昇局面において外国人株主比率は上昇し、個人株主比率は低下します。また、株価下落局面において外国人株主比率は低下し、個人株主比率は上昇します。これはよく言われるとおり、外国人株主は順張り、個人株主は逆張りの投資家だからです。

 貴社の9月中間期末の株主構成はどう変化したでしょうか?3月末に比べて株価が下落しているにも関わらず、個人株主が増えていないという企業もいらっしゃるのではないでしょうか?

 「株価下落局面なのに、どうしてうちの会社は個人株主が増えないんだ?」とお考えになる会社もあろうかと思います。「外国人株主比率がほとんど変わっていない」という状況の会社もあるのではないでしょうか。株価下落局面なのに個人株主が増えず、外国人株主に変化がないということは、非常に個人株主が増えにくい会社ということです。

 つまり、時価総額や企業規模は大きいのに、個人株主にとってその企業の認知度が低いということです。このような企業は個人投資家向け説明会なども丁寧にやっていらっしゃる企業が多いと思いますが、それでも増えません。なかなか難しいです。

 個人投資家が増えずに外国人投資家に変化がない、もしくは、増えているということは、株価下落局面でも買ってくる外国人投資家がいるということではないでしょうか。株価下落局面でも買ってくる外国人投資家とは?

 バリュー系の投資家ではないでしょうか?企業の成長性に投資するのではなく、企業の財務面から見て株価が割安な状態の企業を狙う投資家です。このような投資家は、比較的、企業に対して声高に主張を訴える投資家が多いです。アクティビストです。

 株主判明調査は終わりましたでしょうか?調査の結果、新たな株主は登場していないでしょうか?

 もちろん、まっとうな経営をしていればアクティビストに文句を言われることはありません。ただし、アクティビストは一見まっとうな経営をしているように見えるものの、投資家目線で考えると「もっと効率的に経営できるはず」という余地のある企業を狙ってきます。

 株主構成を抜本的に変化させることは非常に難しいですが、財務体質を抜本的に変化させることは、極端な話、簡単にできます。すぐさま実行したほうがよい、とは申しませんが、自社の株主構成を見た上で、じっくりと考える必要があると思います。

 

 

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