2018年01月25日

No.255 日本ペイント 筆頭株主 取締役の過半提案(2018/1/19日経)

 2018年1月19日(土)の日経7面にあった記事です。日本ペイントHDの筆頭株主であるウットラムが推薦する6人を日本ペイントHDの取締役候補とする株主提案をしたと発表したそうです。日本ペイントとウットラムって、何年か前にも似たようなことがありましたね。新聞記事によると。2013年にウットラムが出資比率を14.5%から約45%への引上げを提案し、その後、協議した結果、増資によりウットラムの出資比率は38.9%になったようです。では、恒例の日本ペイントHDの株主構成を・・・。

 まあ、株主構成を見るまでもないんですけどね・・・。ムリでしょ、否決させるのは。この株主提案は可決されるでしょうね。そもそも、14.5%の出資比率を38.9%にすることを認めた段階で、日本ペイントHDの独立性など失われています。

 これは、旧村上ファンドによる黒田電気への株主提案と同じですね。何がポイントかというと、ウットラムがすでに38.9%も保有していることです。黒田電気に対する株主提案が可決されたのも、一般株主が支持したことが大きな要因ではなく、旧村上ファンドが大量の株式を保有していたことが一番の要因です。ウットラムによる日本ペイントHDに対する株主提案は株主提案などではなく、実質的な日本ペイントHDのオーナーであるウットラムが強権発動したに過ぎません。

 ウットラムと日本ペイントHDの関係はよくわかりませんが、出資比率を引き上げるときにどういう協議をしたのか不思議です。「38%持つけど、経営の独立性や自主性は認めるから心配しないでくれ」とでも言われたのでしょうか・・・。あまいな~。

 皆さんの安定株主をよーく検証する必要があります。1人の株主にたくさん持たれている状況の場合、それは安定株主比率が高いというのではなく、その1人の株主の意向によって経営体制が変わる可能性があるということです。株主構成は広く多種多様なほうがよいですし、安定株主もそうです。安定株主が金融機関しかいなかったら、金融機関を取り巻く環境が変化すれば金融機関は持株を売却しますから、金融機関の都合によって崩れてしまう防衛体制と言えます。安定株主が創業家だけの場合、相続によって創業家は持株を売却する可能性がありますから、相続によって崩れてしまう防衛体制ですね。特定の安定株主に依存して防衛体制を構築することは、実は危険なのです。

 安定株主は、銀行、生損保、事業会社、従業員持株会、創業一族など多種多様な顔ぶれであればあるほどよいのです。

 

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