2018年02月14日

No.268 乱暴かもしれませんが、議案が否決されてもいいんじゃないですかね

 なんでそんなにイヤなんでしょうか?まあ、役員選任議案が否決されるのは困るでしょうが、例えば、買収防衛策なんて否決されてもいいでしょう?また来年の総会にかければいいだけなんですから。

 買収防衛策を否決されたら、実質的な安定株主比率がわかる、という指摘があります。実は昔、私もそう考えていた時期がありました。でも、このコラムを読んで皆さんどう思いますか?「総会議案の賛成率うんぬんではなく、有価証券報告書の株主構成と上位株主を見ればだいたいわかるよね」ではないでしょうか?そうなんですよ。有価証券報告書の株主構成を見れば、だいたいの安定株主比率はわかるのです。また「あの会社は議案が否決されるほど、安定株主比率が低いのか!よし!あの会社を買おう」と考える買収者はいません。そんなキモの据わった人がいたら、貴社はとっくの昔に買われています。

 それよりも、買収防衛策が必要であると考え、信念をもって株主総会にかけている会社のほうが「ちゃんと、企業防衛について考えている会社なのかもしれない」と見なされるではないでしょうか。

 買収防衛策を導入していない会社=企業防衛について検討していない会社=脅しに屈しやすい会社、と見なされるリスクのほうがあると思います。買収防衛策の検討は社内で検討していればよい、というものではありません。ちゃんと検討していることが社外にわかったほうがよいのです。「ちゃんと検討しているぞ!へんなヤツが寄ってきたらケンカするぞ!」と。コラムでもお伝えしましたが、買収防衛策を導入していないけど、企業防衛体制についてコーポレート・ガバナンス報告書や事業報告の会社の支配に関する方針で記載している会社があります。私は非常によいことだと思います。買収防衛策や企業防衛についてちゃんと研究・検討している会社なのでしょう。私はどんな会社であれ、事前警告型買収防衛策を導入すべきと考えますが、いろんな理由があって導入できないという会社の事情もよくわかります。特にこのご時世で社長に「買収防衛策を導入すべきです!」と言っても社長は「はあ?みんな廃止してるんだろ?なんで今さら?オマエ大丈夫か?」という反応でしょう。社長がそういう反応の会社については、私のコラムをお渡しください。「このコラム、1号から読むと長いけど、読みやすいからぜひ読んでください。これを読めば買収防衛策の必要性がわかるはずです!」と社長に言ってみてください。読んだら社長の考えは変わるはずです。

 議案が否決されることって、そんなにたいそうなことですかね?こんだけ安定株主比率が低下しているのだから、総会議案の1つや2つ、否決されたって不思議はない世の中ですよ。昔のシャンシャン総会だった時代とは違うのです。総会を取り巻く環境が変わっているのです。だから、「買収防衛策をかけても総会で否決されるかも」 いいんですよ、否決されたって。否決されたって、かけ続ければよいだけです。そのうち可決されます。むしろ、買収防衛策を今まで全く見当もせず、株主総会にかけていない会社の方が狙われやすいでしょう。オレたちは会社を守ること、株主利益を守ることを常に考えている、ということを対外的にアピールすることが最も重要です。否決されたってこわくねーよ、というスタンスを社外に示すことも重要です。アクティビストは「議案が否決されたら怖いと思ってるんだろ?」という考えのもとで会社に圧力をかけるのですから。議案の否決なんて大した話ではありません。

 あ、いいアイデアが浮かびました。例えば、2018年6月株主総会で買収防衛策を否決されたとしましょう。2018年6月株主総会の翌日に、取締役会決議で買収防衛策を導入し、プレスの中で「本ルールの有効期間は2019年6月株主総会までとします。当社は株主総会に本ルールを議案として上程し株主の皆様の承認をいただくこととし、承認をいただいた場合、本ルールの有効期間は3年間とします。」と書きましょう。どうでしょうか?否決されても取締役会決議で総会の翌日に導入し、「来年の株主総会に議案として諮ります!来年の総会までは役会導入で防衛策有効!」と言ってのけるのです!あきれられますかね?実質的な取締役会による導入とみなされ、愛すべきISSに経営トップの選任議案に反対推奨されそうですね。もしくはルールを破られますかねえ。

 

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