2020年12月25日

No.981 (無料公開)今年もお世話になりました

今年最後のコラムですので、無料公開にしました。よくお客様から「毎日コラムを書いていてネタに困らないか?」と聞かれたことがあります。しかし今年は「ネタに困らないでしょ?」とよく言われます。はい、今年はまったくネタに困りませんでした。以下ざっくりと今年起きたことです。

2020年1月~4月             旧村上ファンドvs東芝機械(現芝浦機械)

2020年1月~4月             前田建設工業vs前田道路

2020年4月~9月             コロワイドvs大戸屋

2020年10月~12月         ニトリvs DCM・島忠⇒DCM vsニトリ・島忠

2020年11月~                 ストラテジックキャピタルvs京阪神ビルディング

2020年11月~12月         オアシスvs東京ドーム・三井不動産

四半期に一回くらい大きなことが起きましたし、毎月のように何かしらの動きがありましたので、今までだったらコラムとして扱っていた記事なども「もういいや」とネタにしないことも多かったです。

さて、ではなぜこういった敵対的な動きが今年増えたのでしょうか?きっかけは2019年1月に起きた伊藤忠商事によるデサントへの敵対的TOBでしょうね。伊藤忠商事がデサントに対して敵対的TOBを仕掛けても、世論・マスコミは誰も批判しませんでした。批判どころか、日本を代表する企業がようやく敵対的TOBに踏み切ったと称賛しました。旧村上ファンドによる敵対的TOBだって、15年前は批判的な論調は見られたものの(実際には敵対的TOBそのものへの批判というより、旧村上ファンドのやり方に対する批判でしたが)、今ではあまり表立っての批判は見当たりません。

即断即決のオーナー系企業は気づいたのでしょう。「オレが敵対的TOBを仕掛けても、誰も乗っ取りだなんて批判しないんだな。じゃあいっちょやるか!」と。だから本来、世間や一般消費者の声を気にするBtoC企業であるエイチ・アイ・エスやコロワイド、ニトリが敵対的TOBに踏み切ったのでしょう。ちなみにワールドビジネスサテライトで一般消費者に対してニトリの敵対的TOBをどう思うかとインタビューしていましたが「あ、そうなんですか。まあ、安く品物を提供していただけるなら誰だって構いませんけど」という反応です。

来年も敵対的TOBは起きるでしょう。なんなら年明け早々に開始されるかもしれません。まだ今年はあとちょっと残っていますから、年内に開始される可能性だって否定はできません。また「え?この会社がアクティビストのターゲットに?」なんていう会社の大量保有報告書をアクティビストが提出するかもしれません。もう売却しましたけど、三菱グループの中核企業である日本郵船は旧村上ファンドのターゲットになりましたから。そしてキリンHDは株主提案をされましたから。

来年はどういう時代になるでしょうか?今年の動きは私も想定外でした。もちろん敵対的TOBが増えることは間違いないと思っていましたが、こんなにもたくさん出てくるとは思っていませんでしたし、著名な企業がこれほど実施するとは思っていませんでした。私の想定を超えるスピードで世の中が変化していると思います。

旧村上ファンド、ストラテジックキャピタル、前田建設工業、コロワイド、ニトリ。アクティビストとオーナー系企業が敵対的TOBを仕掛けました。来年はそろそろオーナー系以外の一般的な上場会社が敵対的TOBを仕掛けてくる可能性があります。だってこれだけ敵対的TOBが経営戦略として実行されている中、次のターゲットは自社になってしまう可能性があるのですから、食われる前に食ってやろうと考えるのが普通の経営者でしょう?

上場している以上、皆さん等しく敵対的TOBのターゲットになる可能性があります。また等しくアクティビストのターゲットになる可能性があります。そうならないよう、皆さん平時の企業防衛、企業価値向上について今まで以上に考えていただく必要があります。買収防衛策を今一度きちんと検討し直す必要があります。本当に敵対的TOBを仕掛けられたら、ほとんどの日本の会社は買収されます。買収防衛策をきちんと導入し、有事にならないよう企業価値向上策を検討し、実行しておく必要があります。持ち合いについても考え直す必要があります。持ち合いに対する批判は今に始まったことではありませんが、本当に解消してしまってよいのでしょうか?皆さん、持ち合いを何のためにやってきたのでしょうか?自身の身を守るため、経営者の保身のためにやってきたのでしょうか?違いますよね?あらゆるステークホルダーの利益=会社の利益を、一部の自分の短期的利益しか考えない強圧的な株主から守るために行ってきたのが持ち合いです。そのような持ち合いを本当にやめてよいのでしょうか?買収防衛策と持ち合い。現在では批判されることが多いものの、これらの企業防衛施策を今一度考え直していただくことが重要であると私は考えます。

また投資家の皆さんもこれから今まで以上に敵対的TOBに応募すべきかどうかを判断しなくてはならない局面が増えると思われます。稼げる場面も増えるでしょう。敵対的TOBが起きたらどういう流れになるのか、ターゲット企業は何をするのか、ホワイトナイトで対抗するのか、などなどを見極めなくてはなりません。

今年は大変お世話になりました。来年もよろしくお願い申し上げます。ちょっと早いですが、よいお年を!!!

なお年内のコラムは本日で終了ですが、年中無休で営業しておりますので何かあればご連絡ください。ニュースは適宜アップいたします。とりあえずニトリのTOBが12月28日で終了しますので、ニトリ関連のニュースはアップする予定です。

年明けのコラムは1月4日(月)です。

 

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