2022年01月25日

No.1235(無料公開)買収防衛策を継続するか、廃止するか~コーポレートガバナンス重視の時代において本当に継続していいの?~

まったく問題ありません。https://ib-consulting.jp/column/4006/でお伝えしたとおり、廃止した会社はコーポレート・ガバナンス意識が高まって廃止したわけではありません。株主総会に買収防衛策の継続議案をかけたら否決される可能性が高まったから廃止したのです。

ただ一方で買収防衛策を継続すると社長にあげたら「世の中、買収防衛策を廃止する会社が増えているのに継続していいのか?」と指摘される可能性もあります。また社外取締役に同様の指摘をされる可能性もあるでしょう。そういう指摘をされたらどう答えたらよいか?以下をご説明ください。

・まず廃止した会社はガバナンス意識が高まって廃止したわけではなく、単に否決される可能性が高まったから廃止しただけ。

・廃止のプレスリリースにはたしかにコーポレート・ガバナンスの重要性が高まったなどという理由を書いている会社もあるが、実際には違う。

・そもそもわが社を含めた日本の上場会社が導入している買収防衛策は、買収防衛策と呼ばれてはいるものの、実は買収防衛策ではない。当社株式の20%以上を取得したい場合は、買収提案の詳細内容などの情報を提供してください、提供された情報を検討するための時間をください、といったルールに過ぎない。

・このような買収提案に関する情報と時間を確保するためのルールは決して経営者の保身ではないし、保身のために利用することはできない。独立委員会を設置するなどして保身に利用できない仕組みになっている。

・コーポレート・ガバナンスと買収防衛策はまったく関連性がなく、コーポレート・ガバナンスに対する重要性が高まっているからと言って、買収防衛策を廃止する必要性などない。

・現在日本では敵対的TOBが増えている。いつ当社がターゲットになってもおかしくない。アクティビストの投資行動も活発化している。旧村上ファンドもたくさん日本企業の大量保有報告書を提出している。

・これから日本で敵対的TOBが増える可能性が高まる中、当社に対して敵対的TOBが実施された場合、買収提案の情報と検討するための時間を確保することは重要。これから先、日本の上場会社に対して敵対的TOBが増えるであろう局面において買収防衛策を廃止するのはおかしい。これからますます必要になる。

・現に廃止した会社に敵対的TOBが仕掛けられた際、有事型買収防衛策で対抗しているケースが多い。やはり買収防衛策は必要であるということ。

こんな感じでどうでしょうか?

 

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