2022年01月25日

No.1234(無料公開)買収防衛策を継続するか、廃止するか~廃止している会社が多いんだよなあという悩み~

昨日お伝えしましたとおり、6月株主総会で買収防衛策の更新期限を迎える会社は真剣に検討を開始していると思いますので、みなさんが悩まれるであろうポイントを解消していきます。まず「廃止している会社が多いんだよなあ」と悩まれることでしょう。

https://ib-consulting.jp/newspaper/4003/

確かに以下のとおり年々買収防衛策を導入している会社は減っています。

https://ib-consulting.jp/column/3875/

有料コラムですみません。導入企業数は2010年7月末時点で542社だったのが、2021年7月末時点では270社になっています。半減しましたね。買収防衛策導入企業が減っていることを、コーポレート・ガバナンスコードが浸透しみんなの意識が高くなり経営者の保身である買収防衛策をやめる会社が増えたから、などという暴論を主張する方がいらっしゃいますが、とんでもない間違いです。廃止した会社はそのような理由で廃止したのではありません。

廃止した会社の真の理由は「継続したくても国内の機関投資家にまで反対されると株主総会で否決されてしまう可能性が高くなったから」が理由です。昔は誰もが知っている有名な会社、時価総額の大きい会社も買収防衛策を導入していたのです。例えば、パナソニック(取締役会決議で導入)、三菱地所、富士フイルムHD、新日鐵、東芝、オリンパス、シャープ、日本通運、TOTO、JFE、日清食品、信越化学、帝人、アサヒビール、ニトリなどなどです。

ではなぜこういう会社が廃止したかというと、以前は国内の機関投資家が買収防衛策導入・継続議案に賛成してくれていたものの、2017年くらいから反対するようになってしまい、時価総額が大きく安定株主比率の低い会社は株主総会で否決されるリスクが高まってしまい、結果、廃止することを選択したのです。現に富士フイルムは買収防衛策議案を株主総会にかけたものの、可決の見通しが立たず総会直前に議案を取り下げました。

https://www.nikkei.com/article/DGXNZO56656240W3A620C1DT0000/

廃止した会社はコーポレート・ガバナンス意識が高まったから廃止したのではないのです。ただ、誤解した会社が多く発生し、継続できる株主構成なのに廃止を選択した会社もたくさんあると思います。

ですので、今買収防衛策を継続するか、廃止するかで悩んでいる会社は「みんな廃止しているんだよなあ」という点で悩む必要はありません。貴社の株主構成上、問題なく継続できるのであれば、この点で悩む必要はありません。廃止したのは継続できない株主構成だったからです。

 

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