2022年07月01日

No.1341 東芝の役員賛成率から言えること

そんなにアクティビストを怖がる必要あります???以下、東芝が提出した臨時報告書です。

これ見てみなさんどう思いましたか?「綿引さんの賛成率が低すぎる!アクティビストは結局、短期的な株価しか見ていないんだ!」 そうですね。私もそう思います。でも見方を変えてください。以下の記事をご覧ください。

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00108/00183/

東芝は債務超過による上場廃止を免れるため、2017年12月に第三者割当増資を通じて物言う株主らに出資を仰いだ。約6000億円の増資を約60の海外投資家が引き受けた。現在もエフィッシモ・キャピタル・マネージメントなどの物言う株主は合わせて約2割を保有しているとみられる。

報道によると東芝株をもつアクティビストは2割だそうです。東芝の総議決権は4,310,301個です。4,310,301個×2割=862,060個です。で、綿引さんの選任議案に対する反対個数は?

792,773個です。アクティビストが保有しているであろう議決権個数に近いですね。綿引さんの選任議案に反対したのはおそらくアクティビストでしょう。ほかの機関投資家が反対するとは思えません(棄権個数が多いので、もしかしたら棄権という判断をしたのかもしれませんが)。全体の2割をアクティビストが持っているというのは、けっこう正しいのかもしれません。

東芝の経営陣は冷静に考えたほうがいいんじゃないでしょうか?だって議決権の2割しか持っていない株主ですよ。ないがしろにしてよいと言っているのではなく、2割しか持っていない株主の意見をあたかも全株主の意見のように取り扱う必要はないし、そして株主の意見だからと言って採用する必要などないのです。

ちなみにアクティビスト出身である今井英次郎氏とナビール・バンジー氏の反対個数は、それぞれ、768,022個と756,688個です。綿引さんに対する反対個数と同じくらいですよ。アクティビスト出身者を取締役に選任するのはよくない、アクティビストに偏った取締役会はよくない、と考える株主が綿引さんの選任に反対する株主とほぼ同数いるのです。もちろんこれらの株主がアクティビスト出身者の選任に反対=非公開化に反対、というわけではないでしょう。ただ、このような株主は綿引さんのような方にこそ社外取締役としていてほしいと思っているに違いありません。

結局のところ、東芝の経営陣はたった2割しかいないアクティビストを極度に恐れてしまったということなのでしょう。非公開化ありき、これ以上アクティビストを刺激したくない、と。だから口うるさいことを言う綿引さんにはいてほしくない、とすら経営陣は思っていたかもしれません。

それ、大間違いですよ。綿引さんが辞任されたことで、アクティビストの思うつぼになります。アクティビストは「口うるさい社外取締役がいなくなった。これでオレたちに有利な条件で非公開化させられる」と思っているでしょう。そして、東芝の経営陣が弱腰であることもさらに露呈してしまいました。圧力を加えれば何とでもなると思われていますよ。

東芝の経営陣はアクティビストにいなくなってほしいから非公開化を選択するんですよね?それ、目論見どおりになりますかね。日経ビジネスは以下のとおり報道していますよ。

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00112/062800089/?P=2

東芝は5月、社外取2人を送り込んだ物言う株主側と、秘密保持などの条項を盛り込んだ「合意書」を結んだ。綿引氏が「最大の問題になっている」と主張していた、現在の株主が非公開後に株を再び所有して一定の影響力を持てる「ロールオーバー」は、こうした合意によって可能となる。

日経ビジネスも記事の中で「非公開化したのに、物言う株主からの口出しが続きかねない。」と指摘しています。アクティビストがイヤでイヤで仕方がなかったから非公開化して追い出そうとしているんでしょ?残っちゃったらどーすんのさ。意味ないじゃん・・・。アクティビストが短期的な株価上昇を狙っている一方で、東芝の経営陣も短期的で安易な解決を望んで非公開化に向けて暴走しています。しかしその結果、とんでもないことになりつつあります。これから東芝はアクティビストにすべてをむしり取られるでしょう。それは経営陣の判断ミスが招いた結果です。アクティビストに対して常に弱腰だった経営陣の責任です。

従業員の皆さん、あとは皆さんしか残っていません。経営陣がアクティビストに屈してしまった以上、そして東芝の最後の良心である綿引さんがいなくなってしまった以上、皆さんの身を守るのは皆さんしかいないのですよ。

まだ立ち上がって戦う方法はあります。

 

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