2022年07月05日

No.1343 オアシスがやったことは本来ISSなどがやるべきことではないの?

ジテックに関するプレゼンテーション資料です。なかなか読みごたえがあります。P15~がドムス元麻布です。426.44㎡って広いなあ・・・。うちもこんなに広かったらさぞ子供たちが喜ぶことでしょう。

https://static1.squarespace.com/static/628452ce917b956ad3d21980/t/62a325d893b4a71d20762df0/1654859250132/Protect+Fujitec+%28jpn%29.pdf

さて、オアシスはこの調査をするのにどれくらいのコストをかけたのでしょうか?P52~には「フジテック社員の私的利用」として(オアシスの主張、会社の主張はこちらのプレスリリースをご覧ください)、フジテックの社員が内山社長宅を掃除している様子を写真撮影しています(あくまでオアシスの主張です)。この写真を撮ったのってオアシスの人ですか?たぶんですが、調査会社を使っていませんかね?

オアシスはフジテックの調査に当たってかなりのコストを払っているように見えます。これ、フジテックの投資家はオアシスにお金払った方がいいんじゃないですか(笑) これは冗談ですが、本当にオアシスにお金を払った方がよい会社があると私は思います。それはどの会社か?

ISSとグラスルイスですよ。ISSとグラスルイスって、過去、フジテックの役員選任議案にはどういう推奨をしていたのでしょうか?もしこれらのフジテックと内山社長・資産管理会社の取引の問題を指摘していたのだとしたらすみません。でもしてませんよね???

今回のオアシスの調査というのは、本来、ISSやグラスルイスがしておくべき内容だったのではないかと私は思うのです。もちろん調査会社を使って調べろとまでは言いませんよ。でも有価証券報告書の関連当事者との取引を見れば、取引がある事実はわかりますよね?取締役候補者の賛否の推奨に当たって、ROEなどの数値基準だけではなく、会社との取引の有無やその内容もチェックすべきなのではないですか?

結局のところ、取締役候補者の推奨に当たって、ISSなどが見ているのは過去5期間のROEとか社外取締役が●名いないとダメとか、出席率とか、その程度の基準でしか判断していませんよね?これ、ISSなどは推奨の基準を公表しているんですよ。ということは、基準通りに機関投資家が賛否の判断をすればよいだけなのです。

はっきり言いますが、議決権行使助言会社の存在意義ってなんですか?フジテックの社長選任議案だって、今回オアシスが調査内容を公表しなかったら、ISSやグラスルイスは賛成推奨をしていたのでしょう。関連当事者との取引が公表されているにもかかわらず、その内容を調べもしないで。

オアシスの今回のフジテックに対する調査は見事です。オアシスのおかげでフジテックの一般株主は「会社が社長とこんな取引をしていたのか?」と気づくことができたのです。本来ならばこの仕事をやるべきは、オアシスではなくISSやグラスルイスなのです。ISSやグラスルイスが有価証券報告書をチェックし、「フジテックが内山社長との取引について、株主が納得できる理由を説明しない限り、社長の選任議案には賛成推奨できない」と言うべきだったのです。

しかしこういうことを言えば、ISSやグラスルイスは「個社の調査をそこまではできないよ!」と反論するでしょう。はい、そこが議決権行使助言会社のダメなところです。議決権行使助言ビジネスの限界です。もしISSやグラスルイスが「そこまではできない」と言うのなら、「それって調査する人員が足りないからでしょ?」「調査する人員に専門性がないからでしょ?」ということなのです。

本来、会社の役員選任議案という会社の将来を左右するような議案に、形式的基準を設けて、それに反したら反対推奨などというのはあまりに乱暴なのです。例えば以下の過去のコラム。

No.130 僕がISSなら川崎汽船の社長には賛成推奨です

川崎汽船の社長はおそらくROE基準に抵触して反対推奨されたようなのですが、この社長、商船三井と日本郵船とコンテナ船事業の統合を決断した社長ですよ。なんでそのような社長に反対推奨するのか?ねえ、なんで?

フジテックの件を見て思ったのは「ISSとグラスルイス、かなり恥ずかしい」ということです。本来ISSやグラスルイスが指摘すべき点をオアシスという投資家=ISSらのお客さんという立場の人たち、に指摘されてしまったのです。議決権行使助言のプロなのでは???

機関投資家の皆さん、もし皆さんがISSやグラスルイスの推奨に従って議決権行使を判断していたり、形式基準に則って会社の中身を見ずに議決権行使をしていたりする場合、上場会社は皆さんに対して不信感を持ちます。対話をしたくないと考えます。対話をする価値のない投資家と見なします。皆さんがフジテックの件を通して、もし「日本の上場会社はやっぱり信用ならん」と思っているのだとしたら間違いです。日本の上場会社も皆さんのことを「投資先のことを調査もせず、形式基準だけで判断してきた人たち」と見なします。ISSやグラスルイスのみならず、皆さんだってフジテックと内山社長の取引を見逃してきたのです。

日本の上場会社に信頼される投資家であるべきではないでしょうか?

そのためにはどうでもいい数値基準などを捨て、そして平時の会社の役員選任議案など「はい賛成」でいいんですよ。白紙でいいですよ。議決権行使担当がやるのは投資先全社のチェックではなく「今年見るべき会社の議案はどれか」を考えることです。また、形式的な数値基準ではなく、関連当事者との取引といった見るべき項目の精査です。時間をかけてチェックする会社と機械的に処理してよい会社を分けることも重要です。

議決権行使って、本気でやったら本当に楽しくやりがいのある仕事だと思います。オアシスみたいにおかしな取引を見つけたら「おお!うちの議決権担当はすげーぞ!」ってなります。

 

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