2022年11月24日

No.1431 ストラテジックキャピタルは日証金への株主提案が可決されようが否決されようがどうでもいいはず

なぜなら狙いは株主提案を通すことではないからです。私の勝手な妄想ですので、投資は自己責任でお願いしますね。

ストラテジックキャピタルが日本証券金融に対して臨時株主総会の開催請求・株主提案をしました。可決されるかどうか?ちょっと微妙ですね。

以下、ストラテジックキャピタルの公表内容です。

https://stracap.jp/wp2/wp-content/uploads/2022/11/e48de9c8f908a281ae1e3fd991678c7e.pdf

詳しくはこちらを。

https://stracap.jp/JSF_ESG_Issue_Amakudari.pdf

今回の株主提案が可決されるかどうかのカギを握っているのはシンフォニーという投資家です。代表はデビッド・バランさんと柴田さんです。

https://symphony-fp.com.sg/meet-the-team

シンフォニーは日証金の大量保有報告書を2020年8月21日に提出しました。保有割合は6.18%でしたが、その後買い増した結果、2022年2月15日に提出された変更報告書によると21.91%になっています。

2022年6月の定時株主総会にてストラテジックキャピタルは日証金に株主提案をしているのですが、以下が賛成率です。

第4号議案:代表執行役社長の個別報酬開示に係る定款変更の件

第5号議案:日本銀行出身の役員の個別報酬開示に係る定款変更の件

第6号議案:特別顧問の設置

第7号議案:政策保有株式に係る定款変更の件

第8号議案:純投資目的で保有する株式及び非上場REITの売却に係る定款変更の件

第9号議案:議決権行使結果の開示に係る定款変更の件

ストラテジックキャピタルの株主提案でもっとも賛成率が高かったのは第4号議案「代表執行役社長の個別報酬開示に係る定款変更の件」です。この議案にシンフォニーは賛成していないそうです。なぜわかったかと言うと、ストラテジックキャピタル自身が今回の株主提案プレスで以下のように書いているからです。さきほど掲載したURLのP2にあります。

https://stracap.jp/wp2/wp-content/uploads/2022/11/e48de9c8f908a281ae1e3fd991678c7e.pdf

<シンフォニー・フィナンシャル・パートナーズのファンドに出資されている方へ>

シンフォニー・フィナンシャル・パートナーズ(以下「シンフォニー」)が運用するファンドは日証金の株式を約21.9%保有する筆頭株主です。

◆社長の個別報酬開示に反対の議決権行使

弊社は前回の定時株主総会において、日証金の歴代社長が全員日本銀行出身者であることを指摘した上で、「社長の個別報酬開示」を求める株主提案を行い、議決権行使助言会社ISSの推奨も得ました。しかし、シンフォニーはこの提案に反対しました。

◆天下りの是非

日証金が日本経済の中枢を担う組織の天下り先となっていることは明確な事実です。しかし、社会正義に反する天下りを黙認していては、リターンを得ることも容易ではないばかりか、出資者の皆様の本意でもないはずです。

◆出資者の皆様へ

天下りの実態解明は、日証金が天下りという悪しき慣行に終止符を打ち、公正な人事及び経営を通じて株主価値を向上させるために不可欠です。シンフォニーが適切に議決権行使を判断できるよう、出資者の皆様からも働きかけていただきたく、お願い申し上げます。

ストラテジックキャピタルが日証金への株主提案を成功させるためにはシンフォニーの投票がカギであるものの、前回の定時株主総会においてシンフォニーは味方してくれなかったから、シンフォニーの出資者に対して「シンフォニーに適切な議決権行使をするよう働きかけてください!」と要請しています。水面下でストラテジックキャピタルはシンフォニーに接触したのかなあ?でも、うまくいかなかったから、このような開示をしたんでしょうか??

今回、ストラテジックキャピタルはHPの特設サイトでかなりアピールしています。

https://stracap.jp/proposal-for-JSF-from-sc-2022/

天下りはESGの致命的な課題だ、ESG投資を実践する投資家は天下りの調査を求める提案に賛同してくれ、などなどと言っています。前回の定時株主総会においても、多くの機関投資家が株主提案に賛成していないようです。

ただ、多くの機関投資家が反対したとしても、21.91%を保有するシンフォニーが賛成してくれたら株主提案が可決される可能性は高まります。シンフォニーが所有する議決権個数は210,302個です。例えば、定時株主総会の株主提案第4号議案は賛成188,099個、反対597,070個です。反対にはシンフォニーの議決権が含まれていますが、仮にシンフォニーが株主提案に賛成していたら、賛成188,099個+210,302個=398,401個、反対597,070個―210,302個=386,768個、となっていました。この議案は特別決議ですから可決はできませんが、普通決議だったら可決です。そして今回のストラテジックキャピタルの株主提案は普通決議の議案ですから、シンフォニーさえ賛成してくれれば、今回の株主提案は可決される可能性が高いです。日証金にとって今回の株主提案はかなり厳しいのです。

ただ、おそらくストラテジックキャピタルはシンフォニーを口説くことができていないのでしょう。口説いていたらプレスでシンフォニーの出資者に呼び掛けることなどしないでしょう。シンフォニーを口説くことができなかったから、出資者に呼び掛けてシンフォニーにプレッシャーをかけていると見たほうがよさそうです。または、そもそも株主提案が可決しようがどうでもいいから、口説いてすらいないと見ることもできます。理由はのちほど。

ではシンフォニーはストラテジックキャピタルの株主提案に賛成するでしょうか?

私は「賛成しない」と読みます。というのも、おそらくシンフォニーは前回定時株主総会の株主提案に関して、日証金から「株主提案に反対してくれ」とお願いされたと思うのです。そしておそらくシンフォニーは日証金に対して「わかりました。日証金さんを支持して、株主提案には反対しましょう。ただし、ちゃんと株価を上げてくださいよ。そうしないといずれ株主提案に賛成せざるを得ないですよ」と言っているのでは?シンフォニーは株主提案に反対する=日証金に恩を売って、日証金に株価を上げるための具体的行動を取るよう求めたのでは?

今回の株主提案に対しても日証金はシンフォニーにお願いするでしょうね。なにせ前回の株主提案は特別決議であり、シンフォニーが賛成しても可決できる可能性は相当低かったのに対して、今回の株主提案は普通決議です。シンフォニーが賛成したら通ってしまうリスクがかなり高いのです。シンフォニーは「株価を上げる具体的な策をちゃんと考えているんでしょうね?それを実行することが賛成の条件ですよ。ストラテジックキャピタルは我々の出資者に呼び掛けてプレッシャーをかけてきています。仮に我々が株主提案に賛成せず、貴社の株価が低迷したら我々も責任を問われますし、いずれ株主提案に賛成せざるを得なくなります。強力な株価向上策の実施をお願いします」などと言うかもしれませんね。

そして今回の最大のポイントは「おそらくストラテジックキャピタルの丸木さんもそれを期待している」ということです(笑) 丸木さんは株主提案を通すことを目的になどしていないと思いますよ。彼は投資家なのです。投資家が株式投資をする目的は「もうけを最大化すること」にあります。株主提案が通るかどうかなど本質的にはどうでもよく、株価が上がればよいのです。それが彼らの仕事であり、最大の使命なのですから。「オレが株主提案をすれば日証金はシンフォニーに賛成しないでくれとお願いしに行くだろう。そしてシンフォニーの柴田は日証金に株価をちゃんと上げろよと言うだろうし、日証金は具体的な株価向上策を打つだろう」と考えているのでは???

丸木さんはシンフォニーの柴田さんを使って、日証金に株価向上のためのアクションを起こさせようとしているのですよ。深読みしすぎでしょうか?ちなみにストラテジックキャピタルとシンフォニーが水面下で握っているという意味で申し上げているわけではありません。そういうズルをしない人たちだと思いますので(面識ないから知らんけど。ストラテジックキャピタルの諸々の主張や開示資料、丸木さんの顔を見てなんとなくそう思いました笑)。

ちなみに、ストラテジックキャピタルの丸木さんとシンフォニーの柴田さんは野村證券の同期入社のようです(笑)

https://stracap.jp/wp2/wp-content/uploads/2021/04/93bad5156645c3e87437a2645e9d09be.pdf

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%B4%E7%94%B0%E4%B8%80%E5%BD%A6

ストラテジックキャピタルは日証金株を5.04%保有しています。株数4,835,400株、取得資金4,065,627千円なので、1株当たり約841円で取得していることになります。一方シンフォニーは21.91%保有、株数21,030,200株、取得資金13,730,608千円なので、1株当たり約653円で取得していることになります。日証金の株価は以下のとおりです。

今回のケースにおいて重要なことは「特定の投資家に議決権の20%を取られると、いろいろとしんどい」ということですな。当該投資家以外にもいろんな人がきますから。通じている・通じていないは関係なく、結果的にウルパックになってしまうんですよ。株価を上げるという方向性は投資家全員に共通することですから。

しかし日証金ってホントによくアクティビストに狙われますね。かつての村上ファンドも投資していましたし、2015年には旧村上ファンドのレノが大量保有報告書を提出したみたいです。

 

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