2018年08月02日

No.395 平時の企業防衛体制

皆さんの会社にはたぶん、企業防衛マニュアルというのがあると思います。もう10年以上前に作った会社が多いのではないでしょうか?皆さん、読んでいますか?もう読んでいませんよね。マニュアルを整備した時は目を通したかもしれないけど、終われば誰も読みません。でも、マニュアルを読み直す必要はないと思いますが、最低限の企業防衛体制については整備しておく必要があります。最低限の企業防衛体制とは?

 まず、毎日、自社の大量保有報告書の提出状況はチェックしておくべきです。担当者と時間を決めて、定期的にチェックする必要があります。「大量保有速報」というサイトもありますが、たまに抜け落ちているときがありますので、EDINETでチェックしておくほうが安全です。EDINETを開いて「書類種別」のところの「大量保有報告書」だけにチェックを入れて検索をかければ大量に出てきます。大量ですが、その日に登録される報告書はしれてますから、全部見ることができると思います(まあ大量に提出される日もあります)。例えば、毎日11:00、15:00、18:00と時間を決めてチェックしたらどうでしょうか。

万一、大量保有報告書が提出された場合、どういう連絡体制にしておくか?これも重要です。担当者から担当部長と役員、関係部署、はたまた社長も加えるのか?証券会社への連絡などをどうするか?考えておくべきことはたくさんあります。

 大量保有報告書が提出された場合、どこをどう見るのか?当然ですが、まずは提出者です。誰が提出したのか?アクティビスなのか、一般的な機関投資家なのか、事業会社なのか?まずはこれをチェックします。必要に応じて、証券会社や判明調査会社などに属性を確認する必要もあります(※判明調査会社は質問するとフィーを請求される場合があるので要注意です)。そして、保有目的です。純投資なのか、重要提案行為をすることも目的なのかをチェックします。また、最近60日間の売買状況や取得資金の総額を見ておく必要もあります。取得単価の計算も重要です。

 そして、日々の株価・出来高のチェックです。これもけっこう重要です。ヤフーファイナンスでチェックするのではなく、クイックなどを活用したほうがよいと思います。別途お金が必要になる場合もありますが、例えば野村證券に口座があればクイックを見ることができると思います。日々の株価、出来高をチェックしていれば、感覚も身に付きます。ただ、出来高が増えていると思っても、なかなか対策を講じることは難しいです。心の準備をするくらいにしかならない可能性はあります。なお、株価・出来高チェックは担当者を決めるのではなく、関係者が毎日チェックしたほうがよいでしょう。

 また、自社の状況をチェックする以外に、同業他社の状況などもチェックしておいたほうがよいでしょう。重要な持ち合い先や取引先なんかも見ておいたほうがよいかもしれませんね。「助けてください!」と言われるときに備えたり、「助けるふりして買収できるぞ!」というときに備えたりするためです。

 

このコラムのカテゴリ

関連する
他のコラムも読む

コラムを読んでくださっている皆様の会社には、買収防衛策を導入している会社もあれば導入していない会社、廃止した会社もあります。買収防衛策を導入していない会社、廃止した会社は、買収防衛策を導入・再導入するかは別の議論として、懐に買収防衛策を忍ば ...

続きを読む

カテゴリからコラムを探す

月別アーカイブ