2017年08月01日

No.141 7月31日「私の履歴書」~日本ガイシの安定株主比率は?~

 有料会員限定記事に「日本企業のROEはなぜ1桁なのか?」という記事がありました。編集委員の小平氏の記事です。記事そのものには目新しさを感じませんでしたが、日本ガイシ特別顧問の柴田昌治氏は日本経済新聞に連載中の「私の履歴書」の1回分を費やしてROEを語っています。1994年の社長就任の直後から工場に出向き、白板に「リターン・オン・エクイティ」とマジックで書き出し「とにかくROEというのが世界共通の企業の成績表なんだ。うちは10%を目指すんだ」と訴えたそうです。(7月21日 第20回)」という部分が気になりました。7月の「私の履歴書」はおもしろかったです。

 では日本ガイシのROEはどういう推移でしょうか?有価証券報告書のハイライト情報を見てみます。左が2013/3期で右が2017/3期です。

 2016年度の日本企業のROE平均値は8.68%だそうです。日本ガイシのROEは平均値を若干上回っています。2016年3月期に13.3%ですから、2017年3月期は低下しました。でもまあ、平均値を若干とはいえ超えていますし、比較的ROEが高い企業と言ってもよいかもしれません。では、日本ガイシの株価はどうでしょうか?PER15.8倍、PBR1.65倍、時価総額7,278億円です。この時価総額だと、安定株主比率はかなり低そうです。そして、外国人株主比率が高くて、個人株主比率が低いのでしょう。では、日本ガイシの株主構成を見てみましょう。

 法人株主比率は5.63%と高くありませんが、第一生命6.55%、明治安田生命5.70%、三菱東京UFJ3.14%、あいおいニッセイ同和1.33%、日本生命1.31%、農協1.31%と上位株主に金融機関がけっこういます。法人と安定金融機関を合計すると24.97%です。時価総額を考えると、かなり高い安定株主比率です。意外ですね。

 今回、日本ガイシを取り上げたのは、7月31日の「私の履歴書」で日本ガイシ特別顧問の柴田さんが名古屋愛について熱心に語っていらっしゃるからです。私、名古屋に少しだけいました。妻は名古屋出身なので、たまに帰ります。東京の方はご存じない食べ物かもしれませんが、帰ると必ずあんかけスパゲティを食べます。私を含めたおじさんが好きな食べ物です。

話がそれましたが、名古屋企業の株主構成こそ日本企業が目指すべきところと感覚的に思っています。名古屋企業は安定株主比率がけっこう高いと思います。トヨタ自動車なんて、時価総額が20兆円もあるのに、外部から見た安定株主比率は約26%もあります。皆さんの安定株主比率より高くありませんか?トヨタ自動車は法人株主比率が20%もあるので高いのです。日本ガイシは逆に法人株主比率は低いけど、金融機関が多いです。ところで、日本ガイシの保有株の状況はどうなっているでしょうか?

有価証券報告書に掲載されているデータです。興味深い保有理由は「森村グループのブランド価値向上のため」という内容です。アクティビストが見たら怒りそうですね。セイコーエプソンについては私の履歴書でも触れていましたね。

いずれ名古屋企業の安定株主比率を分析してみたいと思いますが、試しに知っている名古屋企業の株主構成を見てみるとおもしろいと思います。

 

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