2017年10月05日

No.182 選挙に学ぶアクティビスト対策

 選挙とアクティビスト対策って、一見、つながってないように思いますよね?有事の際にメディアアドバイザーを雇うことがあります。例えば、プラップジャパンとかフライシュマンヒラードといった会社です。他にもあります。この人たちって、相当前ですが、ちょっとだけ話題になったことがあります。以下、インターネット検索すると出てくる記事です。今となっては出所不明ですが。

2005年8月13日 PR会社、選挙戦の攻防
プラップジャパン(自民党)VSフライシュマンヒラードジャパン(民主党)
 突然の選挙戦突入で大忙しなのは議員センセイだけじゃない。昼夜を分かたずフル回転しているのがPR会社だ。選挙の命運を握る“陰の参謀”とされるだけに責任重大。彼らはどう存在感を示すのか。 プラップジャパン――。この7月ジャスダックに上場したばかりのPR会社だ。1月に自民党と契約を結び、「立党50年プロジェクト」や「候補者公募」などのほか、党内のさまざまな広報活動に普段から携わっている。
 自民党が広告会社ではなく、PRを専門とする企業を使うのは初めて。同社の起用を決めたのは「プロの知恵を借りたい」(党幹部)という理由からだ。03年の衆院選、04年の参院選で、民主党の攻勢にあって期待した結果を残せなかった反省がある。プラップジャパンはどんな活動をしているのか。同社も自民党本部もなぜか口を閉ざして語ろうとしない。口外したくないほど大きな役割を担っているからか。自民党関係者がこう話す。「プラップの担当者は、ふだんから党広報本部長とともに行動することが多く、幹事長室や政務調査会などのメンバーともつながりが深いですね」さまざまな提案から文言のアドバイスまで広告の手法を用いたアプローチが得意。当の党広報本部長もマスコミ取材に対して、「第三者の視点は刺激になる」とプラップの役割を評価する。
 民主党をサポートするのが米系PR会社の「フライシュマンヒラードジャパン」。2度の選挙で民主党の躍進を支えた実績を持つ。世論調査などマーケティング手法を取り入れたメディア戦略がうまいと評判だ。「党が決めた方針を具体的なカタチにするのが彼らの仕事。キャッチフレーズやコピーなどイメージづくりに長けている」(民主党関係者)04年参院選で岡田克也代表の“頑固さ”を売り出したのも同社の手法だった。岡田代表のテレビ出演では、限られた時間内で収まるメッセージをつくり、併せて話し方も指導。化粧もするというきめ細かさだ。
 気になるのはプラップとフライシュマンの攻防の行方だ。「選挙は郵政解散。本来なら小泉自民党対岡田民主党という対立軸だが、今回は複雑。自民党は郵政に反対した議員潰しも同時にやらなければならないからだ。初めて選挙を手がけるプラップには荷が重い。その点、民主党は争点を郵政ではなく、政権交代に置いて戦おうとしているのでやりやすい。フライシュマンに有利でしょうか」(マスコミ関係者)
 軍配はどちらに。

実際に有事のケースでメディアアドバイザーと一緒に仕事をしたことはあります。ただ、私の個人的感想としては「期待外れ」でした。私は「どんなふうにしてマスコミをコントロールするのだろうか?」と過大に期待していましたが、実際には毎日掲載される記事のクリッピングや記者会見の設定などが主な仕事でした。選挙戦などには強いけど、敵対的TOBや株主提案といったイベントにはまだ不慣れだったのかもしれませんね。もちろん彼らの仕事をすべて見た訳ではありませんし、顧客は評価していたかもしれません。中には「おっ!やりますね!」という仕事をしてくださった会社もありました。まあ、しっかりとした広報・IR機能をお持ちの会社様は雇う必要がないかもしれません。平時からどこのアドバイザーがよいかを検討する必要もありません。有事になったら各社売込みに来ます。その際に、メインのアドバイザーとともに面談して決めればよいです。

世の中、選挙で大忙しなのかもしれませんが、新聞・テレビでの報道を見ていますと、少し気になるところがあります。他者を批判するのか、自らの政策を主張するのか、という点です。これって、アクティビスト対策でも重要なことじゃないかなあと思いました。いろんな演説を見ると、比較的、他者を批判する内容が目立ちます(マスコミがそれを重点的に報道しているだけかもしれませんが)。個人的にですが、あれってあまり響かないもんですね。むしろ、他者を批判せず、自らの主張を熱心に伝えていただいた方がすっきりします。なお、本コラムでどこかの政党を応援する気はさらさらございません。

 アクティビスト対策も同じかもしれません。アクティビストの会社批判に対して、真っ向から反論することも重要なのですが、むしろ、対立軸を明確にし、会社自らの主張を熱心に伝えていくことがより株主の心に響くのではないか、と。アクティビストが主張していることは実質的に何なのか?社外取締役を派遣してガバナンスを強化すると主張しているが「○○ファンドによる実質的な支配が目的である」「インサイダー取引事件を真摯に反省していない○○ファンドに支配されたら大問題である」と対立軸・問題点を表面的な「社外取締役の派遣」というものから「○○ファンドによる支配」という実質的なものへと明確化する必要があります(なお、黒田電気はそれをやっていました。しかしながら、村上さんたちの持株があまりにも多かった・・・)。そのうえで、「株主の皆さん、○○ファンドによる経営をお望みですか?企業価値が毀損します。取引先が離れていきます。私たち経営陣は○○といった策で企業価値を向上させるのです」と会社としての企業価値向上策を堂々と主張していけばよいのでしょう。ネガティブ・キャンペーンはアドバイザーにまかせることなのかもしれませんね。

黒田電気への村上さんたちの提案は非常に参考になる練習問題です。皆さんならどう反論しますか?

 

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