2016年10月05日

No.7 ソニーは日本の会社?など3コラム

■ソニーは日本の会社?

 数年前ですが、米バロンズ誌に、「ソニーはアップルの買収対象となる」などといった記事が掲載されました。ただ「やるとしたら敵対的買収になるだろうが、ソニーは日本企業だから敵対的に買収しても成功しないだろう」との内容でした。憶測記事でしょうし、実際に買収を検討していたのかどうかはわかりません。

 一つ気になるのが、「ソニーは日本の会社だから敵対的買収は成功しない」という箇所です。なぜでしょうか?

 おそらく、持ち合いが一つの理由だと思います。日本企業に対するイメージとして、持ち合いを実施し安定株主対策をしている、というのがあるのだと思います。まあ、正しいことは正しいです。現に持ち合いしている企業はたくさんあると思います。さらに、日本では本格的な敵対的TOBが起こったことはほとんどありませんし、敵対的=乗っ取り、というイメージが日本人には強いのだと思います。

 ただ、後者の乗っ取りというイメージについては崩れつつあるのではないでしょうか。もちろん、経営者はまだ根強く持っている方が多いと思います。しかし、マスコミはどうでしょうか?北越製紙に対して王子製紙がTOBを実施した際、批判的な記事を掲載したマスコミは少なかったと思います。むしろ、製紙業界の未来を考えれば正しい行動ではないか、という論調が目立ちました。

 ここでソニーの株主構成を見てみます。以下のとおりです。

 ソニーは日本の会社です。でも、株主構成はどうでしょうか?外国人株主比率が非常に高い会社です。日本国籍だけど、株主構成は非常にグローバルです(もちろん事業もグローバルです)。ソニーに対して敵対的TOBを実施したら、成功してしまいそうじゃないですか?少なくとも株主構成だけ見る限り。

 そうなんです。今後、多くの日本企業はこういう株主構成になっていく可能性が高いのです。持ち合い構造が崩れていくからです。

 でもソニーは個人株主比率も高いのです。上表だと2016/3期末は19.96%とそれほどではありませんが、2014/3期末だと33%もいました。個人株主比率が株価によっては結構高まる企業なんです。

 安定株主が減っていく中、ソニーのように個人株主を確保できるでしょうか?

■もうエフィッシモには出て行ってもらいたい!

別にエフィッシモのことを悪く言うつもりで書いている訳ではありませんが、エフィッシモに株式を取得された会社は、みなさんこう思っているのではないでしょうか。何を考えて大量に株式を取得しているのかよくわからないし、37%も取得しておきながら保有目的は「純投資」だし、いろいろと経営に対して要求してくるし・・・面倒ですよね。「あー、早く出て行ってくれないかなあ。でも、大量に持っているから市場で売るのは難しいだろうし。いったい何の目的でいつまで持っているつもりなんだろうか」と。

もう何年も保有されている会社、けっこういらっしゃるんです。このコラムを読んでくださっている会社の方は「うちの会社もそうだよ」と思っていらっしゃるかもしれません。長い会社だと、7~8年保有され続けています。長いですね。7~8年にわたって、エフィッシモ対応を続けている訳です。社長が経営に専念できない場面もあったのではないでしょうか?裁判を起こされた会社もありますよね。

ここらで、抜本的な対応策をとってもよいのではないかと思います。ある意味、エフィッシモはもう長期保有投資家です。経営にモノを言うのはエフィッシモに限ったことではなく、ほとんどの機関投資家が今では経営にモノを言います。エフィッシモは特別な存在ではないですし、長期保有投資家と考えれば、会社側が出口を用意してあげてもよいというステージに来ていると考えてもよくないでしょうか?

つまり、短期的に利益を得ようとしている投資家ではなく、結果的には長期で保有している投資家なのだから、「最後の出口は、当社の株価に悪影響が出ないように協力しましょう」ということです。

親会社がいる会社の場合は親会社が買い取る、キャッシュリッチな会社であれば自己株取得で買い取る、という方法もここまで長期で保有していれば、アリなのではないでしょうか?「上場廃止になってしまう」「市場の流動性が低下してしまう」というご意見はあると思います。とりあえず、現段階では出口のみを検討し、その後のことは時間がたってから検討する、という方向もあり得るのではないでしょうか?

もちろん、エフィッシモ自身に応じてもらわないことには話が進みません。エフィッシモと直接交渉するのも「うーん、うちから話を持っていくのはちょっとなあ」とお考えになるかもしれません。

難しい対応ですが、今後の安定した経営を行うためには、そろそろ抜本的な対策を取るべき時期に来ているのかもしれませんね。

 ■大量保有報告書が提出された!どうしよう?

 ある日突然、貴社の大量保有報告書が提出されました。提出者は?ライバル企業?有名なアクティビストファンド?

 いずれにしろ、社内は混乱すると思います。先月の新聞記事ですが、大量保有報告書が提出された際の混乱ぶりを示す記事がありました。関西スーパーマーケットという会社の株式をオーケーという未公開会社が8.04%取得したという記事です。

 「関西スーパーは2日時点で「引き続きオーケーに意図を確認中」としている」とあります。意図を確認中?え゛?もしかして連絡しちゃったんですか?それ、初期対応としては一番やってはいけないことです。そもそも、大量保有報告書に「政策投資、営業関係強化、重要提案行為等を行うこと」って書いてあるじゃないですか?それ以上、どういう意図を確認したいのでしょうか?

 大量保有報告書が提出されることは、上場している以上、どこの会社にでも起こり得ることです。「でも、相手が事業会社だったらちょっと確認してみたくならない?」と思うかもしれません。連絡すると、コンタクトルートを自ら作ってしまうことになります。連絡してきたのだから、「じゃあ、当社の社長自ら貴社の社長に意図をお伝えします。」と言われたらどうしますか?いきなりトップ会談です。それは避けた方がよいです。

 初期対応としては、まず、関係部署を集めて事務局を設置してください。事務局の指示以外では動かないこと、連絡体制を整備すること、大量保有報告書の提出者の情報収集、大株主や取引先への接触がないかどうかの情報収集、などなどです。提出者と接触するかどうかは、慎重に検討する必要があります。

 みなさんの会社には「企業防衛マニュアル」はありませんか?2008年頃、いろんなアドバイザーから企業防衛マニュアルの整備などの提案を受けて作成したことがありませんか?よい機会ですので、一度、読み返してみてください。

 え?整備していない? 一度、当社にご相談ください。

 

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