No.15 海運3社のコンテナ船統合～エフィッシモはどう動くか～
昨日、郵船・商船三井・川崎汽船がコンテナ船事業を統合すると発表しました。川崎汽船の株価ですが、昨日は254円でスタートし、高値は284円、そして終値は前日比1円高の260円でした。終値は前日とほぼ変わらない価格まで下落してしまいました。一方、商船三井は、寄付き245円、高値は287円、そして終値は14円高の263円でした。川崎汽船とは異なり、終値でも前日比で5%以上高い価格です。日本郵船も商船三井と同じような株価推移でした。終値は前日比13円高の215円でした。
川崎汽船だけは、日中は他2社と同じような株価推移でしたが、終値は前日とほぼ同じ価格です。ちなみに、日中は前日を下回る場面もありました。ちなみに今日の株価は寄付きが255円です。昨日と比べて5円安いです（今日の寄付きは他2社も、川崎汽船と同様に前日比で下げています）。なぜ川崎汽船だけが？おそらく、割高だったのではないでしょうか？他2社と比べて。
つまり、エフィッシモの買い増しにより、明らかに郵船・商船三井と比べて株価が高かったと思われる。何かしらのエフィッシモのアクションを期待して買っていた投資家がいた。そして、海運3社のコンテナ船事業の統合が発表され、株価は急騰したものの、「いや、待てよ？川崎汽船って、そもそもエフィッシモの買い増しで株価は高いよね？コンテナ船の事業統合などの経営施策は織り込み済みの株価だったのでは？」と考え、売りが出てきた。だから、郵船・商船三井と比べて、最終的には前日とほぼ変わらない価格になってしまった、ということではないでしょうか。
さて、エフィッシモはどう動くでしょうか？昨日の川崎汽船の出来高は約7,100万株です（一昨日は約1,000万株）。今日はどうでしょう。出来高がこのまま高い水準でいけば、エフィッシモは市場で川崎汽船株を売却するでしょうか？昨日、仮に1%分を売却していたら、変更報告書が提出されるのは5営業日後です。変更報告書を提出する前にかなり売却するのでしょうか？
ちなみに、エフィッシモが持っている川崎汽船株は3億5,451万株です。はたして、出来高が増えたとしても売れるでしょうか？売り切れるでしょうか？もし1%売却していれば、変更報告書が提出された時点で、エフィッシモが売却したという事実がわかり、株価が下落するおそれがあるのではないでしょうか？そうなると、エフィッシモは自分で自分のクビを絞めることになります。
エフィッシモの取り得る策は以下のとおりと想定します。なお、エフィッシモがかつて行った株式の買取請求権を行使することも、川崎汽船のコーポレートアクションによってはあり得ることですが、すでにエフィッシモは拒否権を持ってしまっているので、買取請求権を行使することはないと考えられます。
- 市場で売却する
- 市場で更に買い増しを進める
- TOBをかけて過半数を取得する
- 川崎汽船株を引き取ってくれる第三者と交渉し譲渡
- 変更報告書を提出し、保有目的を変更する（重要提案行為を行うなど）
- 来年の定時株主総会で社長選任議案に反対する
- 来年の定時株主総会で株主提案をし、エフィッシモサイドの人物を役員にする
- 臨時株主総会を開催して上記の提案をする
本日の日経3面海運3社統合関連の記事中に「強みを利益に変えられるか、3社提携の先に世界大手を巻き込んだもう一手があるのかを市場は注目する」とあります。どういう「もう一手」なのか？それはエフィッシモが握っている、というのは言い過ぎでしょうか？しかし、川崎汽船株を37%持っている株主です。世界の大手が「コンテナ船事業を郵船・商船三井と統合した川崎汽船の株が欲しい」と思った場合、エフィッシモにコンタクトを取り、TOBをかければ過半数の株式を取得できる可能性があります。いずれにしても、川崎汽船を取り巻く状況はあまり変わっていません。
経営に重要な影響を与える程度の株式を取得されるということはこういうことではないでしょうか。ちなみに、本日の13:00時点の川崎汽船株価は前日比12円安の248円（－4.62%）です。エフィッシモは売却しているのか、買い増しているのか、それとも動かずなのか。
