2017年12月11日

No.226 テーオーシー(8841)、最大184億円の自己株買いを実施

エフィッシモキャピタルなどが売却の意向を表明したそうです。12月5日に公表されたプレスリリースですから、少し前のものです。日経の取り扱いも小さなものだったと記憶しています。

http://www7.webcas.net/mail/u/l?p=gw98sVSN-sKNkaHjX

 テーオーシーは、表題のとおり、2017年12月5日に最大で20,000,000株、184億円の自己株取得を行うことを公表しました。プレスリリースには「当社株主のエフィッシモ キャピタル マネージメント ピーティーイー エルティーディー、株式会社みずほ銀行、株式会社三菱東京UFJ銀行、株式会社三井住友銀行の各株主より、その保有する当社普通株式を売却する意向を有している旨の連絡を受けております。」と書いてあります。

 エフィッシモがテーオーシー株式の大量保有報告書を提出したのは、2008年11月20日で、保有割合は6.14%でした。もう9年も前なのです。会社に対して要求することは自社株買いや増配など短期的視点に基づいた内容かもしれませんが、保有期間はわりと長期になっています。直近の保有割合は16.74%です。2016年7月8日に提出した変更報告書で判明しており、以降、保有割合に変動はありません。保有株数は22,917,000株で、取得資金の総額は12,538,913千円ですので、1株当たりの取得金額は547円です。

今回の自己株取得は12月5日の終値920円で実施されました。ただし、既述のとおり、取得する株数は20,000,000株のため、エフィッシモが全株を売却できるわけではありません。12月6日にToSTNeT-3において取引がなされましたから、5営業日後の12月13日までには変更報告書が提出されますので、何株売却できたかはわかるでしょう。私としては、アクティビストからの自社株買いはおすすめしたくありません。また同じような人たちが「あの会社の株を買い占めれば、買い取ってくれるぞ」と考えて寄ってくるかもしれないからです。他にも論点があります。でも、これだけ長い期間持たれていたのですから、しょうがないような気もします。

 いずれにしろ、相当数の株数をエフィッシモは売却できたことでしょう。ということは?はい、またエフィッシモに相当額の売却収入が発生するということです。最近のエフィッシモは東芝の第三者割当増資の引き受けを行うくらいで、新たな大量保有報告書の提出などはあまり見られませんでした。今回の売却資金を新たな投資先や既存の投資先に振り向けてくるかもしれませんから要注意です。念のためテーオーシーの株主構成を見ましょう。

 ニューオータニが15.52%を保有しています。他にも大谷という名前の株主が多いですね。エフィッシモはニューオータニや大谷一族によるMBOなどを期待して投資していたのでしょうか?まあ、結果はエフィッシモの考えていたものとは異なるかもしれませんが、いずれにしろ、取得価格547円の株を920円で買ってもらえるのですから、大儲けでしょう(まあ、9年間も保有していたら、このくらい儲かって当たり前!という考え方もあるでしょう)。しかしテーオーシーの安定株主比率は高いですね。もしかしたらエフィッシモに買われてから追加的に安定化対策をしたのかもしれませんが、安定株主比率が高いから狙われない訳ではないということが、テーオーシーのケースから得られるインプリケーションです。安定株主比率が高くても、アクティビストは儲けるためのストーリーを考え、それを実現するためにいろいろな経営改善要求を会社に対して行うのです。安定株主比率が高くても、儲けるためのやり方はいくらでもありますし、アクティビストのゼニ儲けの犠牲にならないよう、常日頃からの準備が重要です。

 

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