2018年04月04日

No.303 GMOインターネットに対する株主提案は否決、でも・・・

 コラムNo.253、264などで触れたGMOインターネットに対する株主提案ですが、賛成率が驚くほど高いです。詳細はEDINETに掲載されている臨時報告書をご覧ください。株主提案のみ掲載しますが、ちなみに熊谷社長の賛成率は74.19%とあまり高くありません。

 驚くべきは第5号議案と第6号議案です。買収防衛策の廃止および買収防衛策の導入方法に関する株主提案です。https://ir.gmo.jp/pdf/shareholder/gmo_shareholder_h300321_01.pdf

リンクはGMOインターネットの招集通知です。株主提案の詳細はP24以降にあります。後述しますが、GMOインターネットの株主構成を見る限り、安定株主比率は低くありません。なのに、この株主提案の賛成率は44%です。高い~。これを見る限り、やっぱり買収防衛策に対する風当たりは強いということです。

念のためGMOインターネットの株主構成を見ておきます。

 安定株主比率は法人株主31.51%と熊谷氏9.94%の合計41.45%です。議決権個数だと477,155個です。株主提案である第5号議案「買収防衛策廃止の件」については、賛成個数376,840個、反対個数529,877個です。株主提案ですから、安定株主は反対しますので反対個数529,877個-安定株主の議決権477,155個=52,722個が安定株主以外の反対です。では逆に賛成個数ですが376,840個ですので、誰が株主提案に賛成したのでしょうか?提案者であるオアシスの保有株数は7,184,300株なので、議決権は71,843個です。外国人株主の議決権は377,529個です。これにはオアシス分も含まれているでしょう。外国人株主も全員が議決権を行使する訳ではありませんが、株主提案に賛成したのはほとんどが外国人株主と言えるのではないでしょうか?

 一般的には、GMOインターネットほどの安定株主比率があれば、これほど株主提案に対する賛成票が集まるとは思えません。GMOインターネットの場合、安定株主以外がほとんど外国人株主であったために賛成率が高くなってしまったということではないでしょうか。個人株主は熊谷社長を除けば11%程度ですし、個人はあまり議決権行使をしません。GMOインターネットの今回のケースで重要なことは、安定株主比率を適切に把握しておくことだけではなく、自社の株主構成の特徴も把握しておく必要があるということではないかと思います。

なお、極端な話ですが、GMOインターネットに敵対的TOBを仕掛けたら、今回の株主提案に賛成した株主は応募するかもしれません。これに個人株主も応募したら?佐々木ベジが仕掛けたソレキアは個人株主比率の高い会社でしたが、佐々木ベジはTOBを成功させました。個人も応募する株主です。株主提案をされたときの票読み、敵対的TOBを仕掛けられたときの票読みは異なります。もちろんGMOインターネットの場合、総会議案の賛成率が44%ということですから、TOBで44%も集まるかどうかはわかりません。ただ、GMOインターネットが、熊谷社長が40%も株式を保有しているにも関わらず買収防衛策を導入している理由がわかった気がします。

けっこう厳しい世の中になってきたなという印象です。

 

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