2018年04月17日

No.312 川崎汽船の株価

 川崎汽船の株価が低迷しています。まだ先の話ですが、株主総会を前にちょっと気になっています。

 株価が下がるとどういう弊害があるでしょうか?川崎汽船は、日本郵船と商船三井とコンテナ船部門を統合しました。https://www.kline.co.jp/ir/stock/disclose/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/07/21/20170710.pdf

しかし、株価は低迷しています。もちろん、これをもってコンテナ船部門を統合した効果が出ていないとは言えないものの、川崎汽船株式を約38%保有しているエフィッシモは大いに不満でしょう。不満だから「効果が出ていないから株価が低迷するんだ!」と主張するかもしれません。「業績を改善し、株価を上げるためにも、もっとドラスティックな業界再編をすべきだ!」と主張するかもしれません。「更なる業界再編を推し進めるためには、現経営陣ではムリだ!我々が社外取締役に就任し、業界再編を推し進めるけん引役になる!」と社長の再任に反対し、社外取締役選任に関する株主提案をしてくるかもしれません。ちなみにエフィッシモの川崎汽船株式の取得価格は約2,392円です(保有株数36,098,400株、取得資金の総額 約863億円)。以前はけっこう含み益がありましたが、もうほとんどなくなってしまいました。このような状態になってしまうとエフィッシモに焦りが出てくるかもしれませんし、川崎汽船が「だって経営統合って相手のある話だし、ボクたちだけじゃ決められないもーん」と開き直ってしまえば、エフィッシモも困るでしょう。

 また、株価の低迷は川崎汽船に限ったことではありません。では、旧村上ファンドグループが株式を取得した日本郵船の株価を見てみましょう。

同業ですから同じような株価推移です。旧村上ファンドグループの保有割合は5.64%で、取得価格は2,475円(保有株数9,585,600株、取得資金の総額 約237億円)です。含み損のじょうたいですから、さぞかし不満でしょう。

先日も申し上げましたが、そろそろ株主提案が来る季節です。当然、エフィッシモは川崎汽船に対する株主提案権を確保しています。下がった株価を上げるにはどうすればよいか?株式市場があっとおどろく提案をすれば上がるのでしょうか?あっと驚かなくても提案さえすれば上がるかもしれません。黒田電気が昨年、株主提案されたことを公表した時期の株価動向を見てみようと思ったのですが、上場廃止になってしまったことから過去の株価も見られません・・・。なんだか悲しいですね。

アクティビストに多少株式を買われても、なんとかなります。でも、大量に買われてしまうと、本当に上場を廃止されてしまうこともあります。今やアクティビストが大量に株式を買うのは当たり前の時代です。上場廃止に追い込まれた会社は、本当は上場し続けたかったことでしょう。でもQuickをみても、もう自社の株価は表示されません。

私はアクティビストを全否定はしません。彼らの主張や行動により株価が上がったり、会社が効率的経営をしたりすることもあるからです。彼らの主張や行動により、会社がよい方向に進むのであれば何も問題はありません。ただ、彼らは時としてやり過ぎることがあるのです。上場廃止に追い込むことは、私はやり過ぎだと考えます。そのような窮地に追い込まれないためにも、私は買収防衛策が必要だと考えるのです。買収防衛策の必要性と安定株主比率の高低は関係がありません。安定株主比率が高くても必要です。そもそも高い安定株主比率とは何%なのでしょうか?そんな%を確保している上場会社はほとんどないでしょう。時価総額が大きくても必要です。だって買収提案されたことなんてないでしょうから。総会で否決されるなら、方法を考えればよいだけの話です。

 

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