No.75 今度は佐々木ベジ氏がTOB価格を引き上げ
本日、佐々木ベジ氏がソレキアに対するTOB価格を3,700円から4,500円に引き上げました。富士通がTOB価格を3,500円から4,000円に引き上げたのは3月29日(水)です。たった2日で引き上げてきました。では、現在の富士通と佐々木ベジ氏の条件を比較してみます。変更箇所には色をつけています。
佐々木ベジ氏のTOB価格は富士通の提示している価格を500円上回っていますから、現時点では佐々木ベジ氏のTOBに応募が集まると考えられます。ただし、マーケットは富士通がこのまま引き下がるとは思わないでしょう。富士通のTOB価格引き上げを期待し、おそらく週明け月曜日のソレキアの株価は4,500円を上回ってくると考えられます。ちなみに、本日の終値は4,150円でした。富士通のTOB価格が4,000円ですから、マーケットは「佐々木ベジ氏がTOB価格を引き上げるだろう」と捉えていたということですね。
富士通がTOB価格を引き上げてくるとして、佐々木ベジ氏はさらに対抗することは可能でしょうか?次頁に2月3日に佐々木ベジ氏が提出した公開買付届出書に添付されている残高証明書を掲載します。
八千代銀行の「普通預金1,717,010,407円」の残高証明書です。現時点で佐々木ベジ氏は約17億円の資金を準備しているということですね。そして、今回のTOB価格の引き上げで買付けに必要となる資金の合計金額は16億5,915万円になります。次回、富士通がTOB価格を引き上げてきたら、現在準備している資金では足りなくなってしまいます。そうなると、さすがに佐々木ベジ氏もTOB価格の引き上げを断念するでしょうか?
断念することもおおいにあり得ます。佐々木ベジ氏・フリージアマクロスが保有しているソレキア株式は58,600株で取得資金は1億5,400万円です。1株当たりの取得単価は2,638円です。富士通が引き上げるTOB価格が4,638円であれば、1株当たり2,000円の利益が出ます。トータルで1億1,720万円の利益を得られます。
1億5,400万円を投資して、1億1,720万円儲かる・・・儲けてはいますが、17億円のキャッシュをポンと用意できる人が、1億円儲けたからといって敵対的TOBをやめるでしょうか?また、敵対的TOBですから、弁護士やFAなどそれなりにコストもかけているはずです。
58,600株のうち、58,500株は佐々木ベジ氏ではなく、佐々木ベジ氏が会長をつとめるフリージアマクロスが保有しています。では、フリージアマクロスの業績はどうでしょうか?
http://www.freesiamacross-extruder.com/jp/investors_relations.html
特段、業績が悪い訳ではなさそうです。
以前のコラムでも指摘しましたが、敵対的買収者、乗っ取りと非難されるリスクを背負ってTOBをかけたのですから、1億程度の利益で満足するとは思えません。佐々木ベジ氏の目的が「名誉」であったらどうでしょうか?「佐々木ベジという個人が富士通に勝利した!」と。富士通が「これ以上はもうTOB価格を引き上げられないだろう」と考えたものの、佐々木ベジ氏が別の残高証明を添付してきたら?このTOB合戦、長引く可能性もあります。