2018年08月08日

No.399 大塚家具、自力再建困難に、身売り交渉大詰め~ISSに責任は?~

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180803-52446490-business-bus_all

「経営不振が続く大塚家具がスポンサー企業探しを進めていることが、日経ビジネスの取材で明らかになった。2015年、実父の大塚勝久氏との経営権を巡る争いに勝利した久美子社長の経営が、苦境に陥っている。だがスポンサー探しも、交渉は難航している模様で、先行きは予断を許さない状況だ。」だそうです。

 かなり厳しい状況のようですね。どうしてこんなに厳しい状況になってしまったのでしょうか?簡単です。プロキシーファイトなどという顧客離れが進んでしまうかもしれない壮大な親子ゲンカをし、そして、お父さんを追い出してしまったからでしょう。あんな親子ゲンカをやったお店で家具なんて買いたくないでしょう。また、仮にプロキシーファイトをやったとしても、家具屋のプロであるお父さんが社長を続けていたら、ここまでひどい状態にはならなかったのではないでしょうか。

 私はISSの仕事に対して、常日頃から否定的な意見を述べています。社外取締役の独立性などということは勝手にやってもらえばいいのです。ただ、経営トップの選任に関しては、その業種の専門性を持ち合わせていないのなら、株主に判断をまかせるべきだと思うのです。当然、そのような重要な議案の判断をISSの推奨で決めてしまう投資家にも問題があるのですが、商売にしている以上、投資家と事業会社の双方に責任ある推奨と説明をすべきと考えます。「機関投資家から金をもらって商売しているのだから、機関投資家には説明するが、会社から金をもらっている訳ではないから説明責任などない。」 説明責任はありませんが、そういう不誠実なことをしているといつか商売として成り立たなくなります。

 たられば、で申し訳ないのですが、ISSがあのときお父さんのほうを支持し、お父さんが社長を続けていたとしたら?大塚家具は、もしかしたら業績はさほど良くなかったかもしれませんが、身売りまで考えなくてはならない状況にまで追い込まれることはなかったのではないでしょうか?重ね重ね申し上げますが、ISSの日本法人に十分な従業員がいらっしゃるのでしょうか?今の社長は相応しくないというのであれば、その会社を立て直すために誰が社長に相応しいのでしょうか?経営トップの推奨をするほど、その会社の事業に精通しているのでしょうか?業種ごとにアナリストなどを配置しているのでしょうか?ROE平均値が5%を下回っているから反対というけれど、業界全体として見てどうなのか、その会社の社長を変えれば改善する問題なのでしょうか?議案推奨を商売としてやる以上、そこまでの専門性をもった人間を配置して対応すべきと考えます。ISSにとっては大した問題ではないかもしれませんが、社長選任議案を否決されたらその事業会社はどうなってしまうのでしょうか?大混乱ですよ。大塚家具のケースを見る限り、最悪、倒産することだってあり得ます。社長を交代させるということは、それくらい重要なことなんです。ROEなどという指標で判断できるものではありません。

 久美子さんを支持した結果、大塚家具はとんでもないことになりました。推奨内容に対する責任をISSはどう考えているのでしょうか?責任を問うことは難しいと思いますが、少なくともプロとして恥ずかしいと思わないのでしょうか?

 皆さん、ISSに反論する場合は徹底的に反論してください。中途半端な対応はダメです。ISSの推奨によって会社の将来がおかしくなってしまうことがあるからです。大塚家具への推奨結果でよくわかりました。ISSに反論するときは、なりふり構わず徹底的に大ゲンカする必要があります。反論したくらいじゃあ、最近では新聞もあまり取り上げてくれません。ですから、新聞広告を出すことも検討する必要があります。貴社レクだってしたほうがいいでしょう。機関投資家の議決権行使担当者を個別にまわって説得する必要もあります。安定株主比率の低い会社はこの先、「まあISSが反対したといっても議案が否決されることはないだろう」と安易に考えないほうがよいです。本当に会社が危うくなることだってあり得ます。

 

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