2018年02月26日

No.277 オリンピックはすごい宣伝効果?

 http://www.nidec-sankyo.co.jp/skate/index.html

日本電産サンキョー。すごい宣伝効果なのでしょうか?デカデカと「日本電産サンキョー」とプリントされた上着を日本中の人が見る訳ですから。さて、これで知名度が上がり、日本電産株式を買う人が出てくるでしょうか? 買わんでしょうね・・・。コラムNo.263で「日本電産の株主優待」を取り上げました。日本電産は株主優待を始め、そしてテレビコマーシャルでも最近よく見るようになりました。どうやら永守さんは会社を知ってもらい優秀な人材を集めたいと考えているみたいだとのことです。株主優待を始めるということは個人株主も意識しているのでしょう。株主優待を始めて、個人株主が増えるでしょうか? 数は増えるかもしれません。諏訪にある日本電産サンキョーのオルゴール館の無料券がほしい!と考える個人もいらっしゃるかもしれません。小平奈緒さんの出身地である茅野市のとなりの諏訪だから行ってみよう!と考える個人もいらっしゃるかもしれません。ですから、個人株主数は増えるかもしれませんが、個人株主比率は増えません。絶対に!

 会社にとって個人株主の数を増やすことに重要性はありません。むしろ総務部にしてみれば「数は増えてほしくない」であろうと思います。重要なのは率です(率増やすためには数も重要ではありますが)。永守さんが「知名度を上げるための施策として、個人株主にも株を持ってもらいたい」とお考えになっているのであれば、株主優待よりも株式分割をしたほうがよいです。日本電産の株価は16,000円を超えていますから、株を買うのに160万以上かかるのです。なかなか個人株主は手を出しにくいです。であれば、分割して購入しやすい株価にまで下げた方が個人株主は増えます。たぶん、爆発的に数が増えます。

 しかし、ほとんどの会社は数ではなく率を増やしたいはずです。安定株主がどんどんいなくなっていく中で、安定株主に代わる準安定株主として個人株主に期待していると思われます。個人は確かに準安定株主です。いざ敵対的TOBを仕掛けられて株価が上がってしまえば売りますが、平時の株主総会運営においては議決権行使をしないか、しても白紙で投じてくれる株主です。

 では率を増やすためにはどうすればいいのでしょうか?非常に難しいです。個人投資家向けIRを拡充させる?絶対に増えません。手間・コストに見合いません。率どころか、数ですら増えるのかどうかわかりません。そもそも個人投資家向けIRで増えたのかどうかは検証しようがありません。一番確実なのは、売りたいという株主がいる場合、国内個人投資家向けに売出しをやってもらうことですね。これは確実に増えます。ただし、瞬間的には、です。継続して保有してくれるかどうかはわかりません。個人は株価が上がれば売る株主なので、ディスカウント価格で取得した株式など瞬間で売るかもしれません。

 結局、個人株主比率って、増えるかどうかはわからないのです。だから金と時間をかけて増やす方法を考えてもムダです。売りたいという株主が出てきたら売出しで対応してもらえばよいだけです。むしろ経営者は個人株主を増やす方法を考えるよりも、意味のある持ち合いを考えた方がよいです。社長!そう思いませんか?

そだね~

 

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