2018年03月01日

No.280 業界によっては株主提案されるだけでも困る

 株主提案が可決されてしまうリスクの前に、株主提案されること自体を嫌がる業界もあります。以下の事例を見てみましょう。

大塚家具の大赤字、騒動による客離れか? 日本人の購買力低下か?

https://thepage.jp/detail/20180222-00000007-wordleaf

こういう業界です。皆さん、家具を買うのはどんなシチュエーションでしょうか?結婚して新居に引っ越す、子供が産まれる、お子様が大学に入学しひとり暮らしを始める、などでしょうか?そういった幸せなシチュエーションにおいて、大塚家具で家具を買おうと思いますか?「親子で大ゲンカしてたよな?なんか縁起が悪いからやめておこう。別のとこで買おうよ」となりませんか?客離れにつながるリスクがあるということです。

 大塚家具のケースは極端かもしれませんが、大塚家具は絶対に株主提案をされてはいけない会社だったのです。お父さんはそれを理解していなかったのでしょう。コラムNo.181で指摘しましたが、私なら絶対にこの案件はやりません。単なる親子ゲンカだからです。主幹事証券などが親子を諌めに行けばよいだけの話です。こんなのお金をもらって対応する案件じゃありません。この案件においては、大塚家具の将来のことを考えたらお父さんに株主提案をさせてはいけなかったのです。

 「お父さん、大塚家具を潰したいのですか?あなたが株主提案をしたら大塚家具は潰れかねませんよ!」と厳しく指摘し、株主提案をやめさせるべきだったのでしょうね。ただ、もう一度お父さんが経営をやりたいということであれば、一度の株主提案は仕方なかったと言えます。でも、お父さんがちゃんと復帰できる戦略を立てておくべきでしたね。ニュースを見る限りでは、大塚家具は本当に存続できるのか?とすら思ってしまいます。

 さて、どういう戦略がありますかねえ。お父さんはもう「匠大塚」にしか関心がないのでしょうか?自分の作った大塚家具に愛着はないでしょうか?まだお父さんが社長、会長をやっていたときに入社した従業員もいるのではないでしょうか?

 「お父さん!大塚家具にTOBをかけましょう!そしてお父さんが復帰し、匠大塚と大塚家具を合併させましょう!大塚家具を再生しましょう!」 どうでしょうか?さて、TOBかけたら買えますかね?

 法人株主比率11.65%、日本生命5.88%、東京海上2.68%、三井住友銀行1.81%、従業員持株会1.76%、みずほ証券1.55%の合計25.33%です。大塚春雄氏2.56%はどっちの味方なのかわかりませんが、久美子さんの味方だとすると、安定株主比率は27.89%です。お父さん、勝てますかね?

 勝てます。個人株主比率が高すぎるので、ソレキアと同じことが起きる可能性があります。また、日本生命や東京海上、三井住友銀行だって、どう出るかわかりませんよ。今の久美子さんの経営ではもうダメだと思っているでしょうし、今の大塚家具の経営状態で敵対的TOBなど仕掛けられたら、またイメージが悪くなって業績が悪化する恐れがあります。金融機関も久美子さんに「お父さんのTOBに賛成してくれないと、我々はもうこれ以上貴社を支えきれない」と言うかもしれません。金融機関にそう言わせるよう、根回しをしておくこともあり得ますね。

 こういうことを考えていると、なんだかワクワクしてきますね。私だけでしょうか?

 

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