2018年03月07日

No.284 会社は誰のものか?

 永遠のテーマですかね。コラムを読んでくださっている方からとても勉強になる記事を教えていただきました。「DIAMOND Quarterly CEOアジェンダ2018」の「株主主権のアングロサクソン経営に染まってはならない『日本的経営2.0』が日本経済を復活させる」です。岩井克人教授の記事です。

 これ、非常におもしろいです。これもおもしろいのですが、1月4日の日経「経済教室」で掲載された「時代の節目に考える 日本の資本主義 再興の時」もおもしろいです。

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO25253070Z21C17A2KE8000/

「いつでも株を売りさばける株主と違い、経営者は会社に対し忠実義務を負っている。ひとたび会社をヒトとして動かす役目を引き受けたなら、会社を自己利益の道具としてはならないという義務だ。」とあります。確かにそうだと思います。株主利益の最大化のためには経営者も株主にしてしまえ、というのは暴論と言っても過言ではないかもしれません。

 DIAMOND Quarterlyのほうで「2014年に安倍政権が成長戦略の一環として 、株主主権論に基づく「コーポレートガバナンスの強化」を掲げましたが、すると、あっと言う間に日本の会社の大半が社外取締役を導入し、株主への配当を増やし、8%以上のROEを目標に掲げるようになりました。グローバル化が進み、いまや外国人投資家が日本の株式の3割を持っているのですから、彼らが安心して株式を売買できるよう形式や体裁を整えることも必要でしょう。しかし、本音と建て前は使い分けなければなりません。そして、株主主権論に基づく会社経営はけっしてやってはいけません。なぜなら、第1に、株主主権論は理論的な誤りだからです。そして第2に、その誤りのせいでさまざまな弊害がもたらされているからです。~以下略~」と書いてあります。

 ごもっともだと思います。特に「形式や体裁を整えることも必要でしょう。しかし、本音と建て前は使い分けなければなりません」という箇所。ようは「本気でやるな!怒られない程度に適当にやっておけ!」ということではないでしょうか?

 株主主権論に基づく経営はアメリカやイギリスですら見直されつつあると言われています。現在日本は株主主権論に大きく振れています。これに関しては、まあしょうがない、と私は思います。なぜなら、「アメリカもイギリスも通ってきた道だから」です。人間、失敗しないとわからないこともあります。ただ、大失敗してしまうのはよくありませんし、強烈な株主に言われるがまま株主主権論に基づく経営をしてしまうのももってのほかでしょう。

「ちゃんとIRをやれ!」って株主が言うからIRをきちんと、一所懸命やろう!本当ですか?会社のホームページ見てもらえばよくないですか?説明会に来てもらえば十分じゃないですか?個別に海外まで行ってIRする?本当に忙しい社長を連れて行くのですか?顔を合わせて話をするからこそ本音がわかる?わかったからってどうにかなるもんではありませんよ。個人投資家向けIRも充実させるべきだ!やっても個人は買いませんよ。株主総会だけで十分です。国内個人投資家向けIRなんて、ある意味、旅行のようなもんでしょ?皆さん、証券会社と業者に騙されていると思います。

ごめんなさい。また言い過ぎてしまいました・・・。

 でも、皆さんどう思いますか?残念ですが、IRで株価は上がりません。海外IRを証券会社や業者がアレンジするのって、なんでですかね?私はやったことないですけど。なんでアテンドまでするんですかね?本当にわからないんですよ。社長と長い時間一緒にいられるから、ですかね?社長や会社の方と仲良くなれるから、ですかね?「株主が何を会社に求めているかわかるからだ!」と言った私の先輩がいました。だから?「会社にどういう提案をすればよいかのヒントになるからだ!」 ふーん。って顔をして聞いていたらムッとされました。ホントかよ。株主が求めているものがわかれば会社に提案するビジネスがわかる?わかるわけない。会社に提案するビジネスはそんなに簡単にはわからない。もしくは、株主に聞くまでもなくわかる。これらのどちらかです。財務諸表と中計見れば簡単にわかる会社もあれば、簡単にはわからない会社もあります。株主なんて会社以上に賢い訳がないし、会社以上に事業のことを考えている訳がないのですから。

 株主のために経営者がやることって、なんなのでしょうか?私は会社のためを思って倫理的に行動することが大前提で、その上で業績を拡大させ、結果的に株価向上につなげることだと思っています。そしてそれを年に一度株主総会で報告する。

 そもそもアクティビストって、貴社の事業や財務に関して、社長やCFO以上に詳しいはずがありません。彼らはえらそうなことを言ってますけど、会社経営なんてしたことがないのですから。会社経営って本当に難しいと思います。私は職業に貴賤はないという考え方ですが、あえて申し上げると「他人の金使って株買って儲ければいいだけの仕事とは訳が違う」のです。皆さん、機関投資家とお会いになりますよね?議決権行使担当者とかにも?ヘンな人多くないですか?「友達にはなりたくねーな」ってタイプの人です(「オマエもな!」という声が聞こえます・・・)。I〇〇の〇〇ダさんも・・・。もうやめときます。

 株価至上主義に本気でお付き合いする必要はありません。コーポレートガバナンス・コードやら伊藤レポートやらスチュワードシップコードやら・・・諸悪の三原則に本気で付き合う必要などない、と考えます。・・・ああ、また言い過ぎてしまいました・・・。

 ところで、国会議員が自身の選挙区にとってはマイナスだけど日本にとってはプラスのことをやった結果、落選しました。国会議員が自身の選挙区にとってはプラスだけど日本にとってはマイナスのことをやった結果、当選しました。どっちが保身の国会議員なのでしょうか?経営者が株主にとってはマイナスだけど会社にとってはプラスのことをやった結果、総会で否認されました。経営者が株主にとってはプラスだけど会社にとってはマイナスのことをやった結果、総会で承認されました。どっちが保身の経営者なのでしょうか?

 最後に、この記事を教えていただいた方、ありがとうございました。この記事には、40を過ぎて独立し一人でビジネスをしている私にとって非常に心強い内容がありました。感謝申し上げます。

 

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