2018年03月13日

No.288 ガバナンス改革で変身したファナック?

 3月12日(月)の日経13面「ガバナンス改革 柔軟な組織で」という記事の最初の方に「ガバナンス改革で変身したのがファナックだ。議決権行使を巡って株主の対話が活発になるのを見越し、15年4月、対話の窓口となるSR(シェアホルダー・リレーションズ)部を新設した。4年ぶりに投資家向け説明会も開き、大胆な株主還元策を発表。それまで市場との対話に後ろ向きとされていた同社のひょう変ぶりが話題を呼んだ。」とあります。どこが変身したのでしょうか?全部外注しとるやん・・・。

 そもそもこれってガバナンス改革なのか?最近、ガバナンスという言葉がよくわからなくなってきました。

たぶんですが、ファナックはひょう変していません。この会社、そうとうアタマのよい会社なんだと思います。「IR?やらん。でも機関投資家やマスコミはやれ!やれ!とうるさい?だったら外注しろ。」と考えたのではないでしょうか?上記はファナックのホームページ「投資家情報」に掲載されているものです。メディア対応以外は全部外注です。まさに「形式だけは整えました~」ですね。専門部署にファナックの社員を置いたら?ファナックの平均給与は42.2歳で1,318万円です。数人の社員を置くだけで数千万のコストになります。アタマのよいファナックであれば、当然、外注という手段を考えるでしょうね。

 以下、2015年3月24日にファナックが公表した「SR部の新設について」というプレスリリースです。

http://www.fanuc.co.jp/ja/ir/announce/pdf/notice20150324.pdf

このプレスリリースで、株主との建設的な対話を促進するための方策として、「実質的に当社の株主として認識できる株主の皆様に対して、各種ミーティングや工場見学会等を通じて積極的に対話を進めます。」とあります。2枚目を見ますと、おもしろいことが書いてあります。

いいですね~。「自分たちが株主であるかどうかは自分たちで申告しろ」ということですね。まあ、判明調査くらいはやっているのかもしれませんが、うまいことやりますね。私もこの方法に大賛成です。私もコラムNo.250で「判明調査をやるコストがもったいないので、実質株主の皆さん、オレは●株保有する株主だ、業績見通しの説明をしに来てくれ、と当社に言ってください。保有株数次第でご訪問して説明します。」という方法について申し上げています。実質株主判明調査など、わざわざ会社が高いコストをかけて普段からやるようなことではありません。何のためにやるのか?が重要です。「念のため」だとしたら払う対価が高すぎます。

 「僕たちは株主と対話していきます!対話窓口はアイアールジャパンでよろしく!」ということですね。

 全然対話する気ないやーん!って突っ込みたくなりますね。このファナックという会社、私大好きです。この対応を見て日経は「ガバナンス改革で変身したのがファナック」と言っています。ちゃんと見た方がよいです。変身などしていません。私にはファナックは「世の中うるせーから適当にやっとけ!」と言っているように見えます。それでいいんですよ。だってファナックって儲かってますよね。非常に高い収益性を誇っていますよね。だったら「稼いでんだからゴチャゴチャ言うな!」でしょう。必要最低限のことをやって適切にアピールしておけば問題ないと思います。

 「ガバナンス改革 柔軟な組織で 株主と対話窓口/専門部署」・・・いらんでしょ?コストばっかり増やしてどうしたいのかわかりません。業者を儲けさせるだけやん。ガバナンスは経営者が考えることです。専門部署の人が考えることではないと思います。

「ESGが投資の新たな潮流になってきた」と記事にはあります。投資家も本音では儲かっている会社に投資したいのではないでしょうか。ESGに注力している会社よりも、本業できちんと利益を上げている会社に投資したいはずです。ESGに会社が注力することについて、私は経営者が本業に対して自信を持てないからではないか?と見ています。本業で稼ぐことに自信のある社長は少なくとも「本気」でESGに注力などしない、と思うからです。本業に自信があり、かつ、株主還元策も大きく変えたファナックは「どうだ!これで文句ないだろ?」と考えているのではないでしょうか?

 すみません、いつにもまして考え方が偏っているでしょうか?よく「変わりもん」と言われます。ご意見いただけると嬉しく思います。

 

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