No.1399 旧村上ファンドは422億円手にしますが、次はどうする？

当然、コスモエネルギーHDとジャフコでしょ？422億円全額を惜しみなく投資してくるでしょうね。どっちが先かな？

ほぼ同時ですかね。ただ、で、行動を起こすのはコスモが先だと読みます。なぜならコスモには買収防衛策がないからです。今のところは。ジャフコは有事型買収防衛策を取締役会決議で導入しました。株主総会決議ではないのでその有効性には限界があるかもしれないものの、ルールを破ったら発動されるし、裁判所が発動を認める可能性があります。さすがにルールを守った状況において取締役会決議で発動しても裁判所が認めない可能性が高いものの、ルール破りに対する取締役会決議での発動はOKと裁判所が判断する可能性はあります。危険をおかしたくはないでしょ？投資家ってのはそういうもんです。そういう合理的ではないリスクは取りたがりません。株価リスク以外を避けるのは当然、ということです。

で、仮に同時に進めるとして、ジャフコの株を買うのにいくらかかりますかね？現状、旧村上ファンドはジャフコ株を8,634,900株、11.78%保有しています。議決権ベースだと12.12%なので、買収防衛策のルール上は20%ギリギリまで買えますから、仮に19.9%まで買うとしましょう。総議決権71,263,100株の19.9%は14,181,400株です。今の株価は2,100円～2,200円くらいです。平均して2,300円で追加取得できたとすると、必要な資金は（14,181,400株―8,634,900株＝5,546,500株）×2,300円＝約128億円です。

422億円―128億円＝294億円をコスモの投資に使えます。コスモの株価は4,000円くらいです。じゃあ4,200円で追加取得したとしたら、294億円÷4,200円＝7,000,000株です。現状、12,762,249株、14.56%保有しています。議決権割合だと15.07%です。総議決権84,683,400株、現状の保有株数12,762,429株＋追加取得7,000,000株19,762,429株なので、議決権割合は約23.3%ですね。かなりざっくりですみません。

ジャフコもコスモも最終的には自己株TOBで買い取る可能性が高いように思えます。だってほかの策、思いつかないでしょ？仮に両社が自己株TOBをやったら、旧村上ファンドにいくら入りますか？仮に上記株数まで買われたとしてですが、

コスモ：4,300円で自己株TOB⇒4,300円×旧村上19,762,429株＝約850億円

ジャフコ：2,500円で自己株TOB⇒2,500円×旧村上14,181,400株＝約355億円

かなりざっくりとした計算ですが、このようにして彼らの資金は雪だるま方式で膨らんでいくのです。このコラムを読んでいるアナタ！「うちには関係ないもーん」って今まで思っていたでしょ？！もう関係なくないのです。このコラムを読んでいるお客様の会社、全社ターゲットになる可能性があります。というか、村上さんってそのつもりで資金を増やしているんでしょ？一応、形式的に彼は「日本企業のガバナンスを改善する」と言っています。だとしたら、規模の小さい会社を狙ってもダメなんですよ。日本を代表するような会社をターゲットにして、株主還元方針やガバナンスを変えさせ「どや！オレがあの会社の方針を変えてやったんやで！」と言いたいのですよ。

はい、日本の上場会社は全社買収防衛策と呼ばれてしまっている事前警告型ルールを導入すべきです。資本市場には「いいアクティビスト」もいます。過度な要求をしない、過度に株式を保有しないまっとうなアクティビストもいます。でもね、上場会社の感覚では理解できないアクティビストもいるんですよ。※旧村上ファンドがそうだと言っているわけではありません。彼らも彼らの理屈として正しいと思って言っていますし、彼らだけが儲けるわけではなく、広く一般株主も対象とする自己株TOBという手段をとるよう配慮する姿勢も見せています。

会社のことではなく、株主全体のことでもなく、自分たちの利益しか考えていないアクティビスト対策として、買収防衛策は有効に機能すると私は考えています。会社全体の利益を考えた上で、買収防衛策と呼ばれている事前警告型ルールが必要だと考えているのです。

「安定株主がいればいいけど、うちはムリだろ？総会で否決される」　総会にかけないルールを作ればよいだけ！知恵と工夫を凝らして会社を守るんです！

私には策があります。興味のある会社はぜひご相談ください。会社を守るために、きちんとしたルール作りが必要な時代です。

上場会社の役員の皆さん！会社を守ることができるのは、役員の皆さんしかいませんよ！