2017年03月21日

No.71 富士通VS佐々木ベジ~佐々木ベジ氏がTOB価格を3,700円に引き上げ~

佐々木ベジ氏に敵対的TOBを実施されたソレキアに対して、富士通がホワイトナイトとして登場し、3,500円でカウンターTOBを実施しました。コラムでも継続的にお伝えしていますが、先週の話です。

本日、佐々木ベジ氏がTOB条件を変更しました。TOB価格を2,800円から3,700円に引き上げました。富士通のTOB価格3,500円を200円上回る価格です。

 佐々木ベジ氏は1株当たり3,700円で最大で発行済みの約48%まで買うという条件です。買付株数は変更していません。買付株数は364,700株のままです。訂正公開買付届出書を見ると、必要資金は1,367,390,000円(買付手数料などを含めた金額)です。TOB期間は4月7日(金)まででしたが、4月14日(金)までに変更しています。

 本格的なTOB合戦に突入しそうです。富士通はTOB価格を引き上げるでしょうか?推測ですが、当然、引き上げてくるでしょうし、富士通サイドも佐々木ベジ氏がTOB価格を引き上げてくることは想定していたでしょう。先日申し上げた通り、一般的に見たら富士通のほうが資金力がありますから、TOB合戦になれば富士通が有利です。ただし、富士通は上場企業として自社の株主に対する説明責任があります。資金力的には佐々木ベジ氏に対抗できたとしても、「そんなに高い値段でソレキアを買う理由は?」と問われたときに説明できる価格かどうかが重要になってくると思われます。「ソレキアを助けなくては!」では自社の株主が納得しないでしょう。

一方の佐々木ベジ氏はあくまで個人でTOBを実施していますから、佐々木ベジ氏が納得できる価格であればいくらでも構わないでしょう。

 今回佐々木ベジ氏はTOB価格のみ変更してきました。買付株数は変更していませんから、今後もおそらく買付株数を変更することはないでしょう。佐々木ベジ氏の資金がどの程度あるかにより、TOB合戦は長引く可能性も出てきます。

 このコラムを書いている時点で、佐々木ベジ氏がTOB価格を引き上げたことはまだ報道されていないようです。佐々木ベジ氏がホームページなどを開設していないようですので、EDINETをチェックしていないと気付きません。ソレキアや富士通は気付いているでしょう。有事になったら、EDINETをたびたびチェックしますので。

 明日の日経でも記事としては小さいものかもしれませんが、久しぶりに実施された敵対的TOBで、かつ、ホワイトナイトが登場するという珍しいケースです。自社に対して同じようなことが起きたらどうするか?という視点で見ると、非常に参考になるケースです。富士通がいくらにTOB価格を引き上げてくるか、おもしろい展開になりそうです。

 

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