2017年10月12日

No.186 当社は相談役を求めています

 そんなに相談役と顧問って問題視されなければいけないのでしょうか?私、相談役を必要としています(今問題視されているのは、そういう相談役ではないことは理解しています)。1人でやっている会社ですから、日々相談できる人がいないのです。妻しか・・・。妻にTOB制度を教え、ソレキアのケースを説明し、コラムの気になる表現を相談しています。妻以外に相談できる相談役が欲しい・・・。「そりゃ、鈴木君の会社、鈴木君しかいないからでしょ?人を雇えばいいじゃん!」 いやいや。違いますよ。よく聞く話ですが「社長は孤独」なのではないでしょうか。いくら優秀な従業員がいようが、相談できることとできないことがあるはずです。また、守秘義務の問題もありますから、誰でもいいから相談するという訳にはいかんでしょう。社内の信用できて、かつ、経営トップの経験を有している方に相談したいときがあるのではないでしょうか?

 週刊ダイヤモンド「ニッポンの老害 初調査 相談役・顧問」を読みました。中には「はあ・・・いなくなってほしい」と考えている現役経営陣の方もいらっしゃるのでしょう。相談役・顧問に対する風当たりが強くなったのは、おそらく東芝問題が発端でしょう。それに乗じたISSなどが「相談役反対!」と言い出した。だけかと考えていましたが、週刊ダイヤモンドを読むと「もしかしたら現経営陣でも相談役制度に反対したいけど大きな声では言えない人たちが、ひっそりと動いているのではないか?」と勘繰ってしまいます。

 週刊ダイヤモンドには「その悪影響は論をまたず、人事抗争や不祥事、経営危機の火種にまでなってきた。そして、その被害者は株主や従業員、取引先など多岐にわたる。”老害経営”の典型となってしまった東芝の凋落が、全てを物語っている。」とあります。経営のトップに君臨できる時間って限られているのではないでしょうか?山登りと同じで、頂上までに時間はかかるけど、いざ頂上にたどり着いてみると、それほど長い時間滞在することはできない。なぜなら山の天気は変わりやすいから。天候の変化を読めずに社長を辞めたあともトップに君臨しようとすると、晩節を汚してしまうということでしょうか?もしくは、会社そのものに悪影響を与えてしまうことすらあるということでしょう。

 2018年1月よりコーポレートガバナンス報告書にて相談役・顧問に関する任意の公表制度が始まります。開示は義務ではありませんが、開示しない場合は株主への説明が求められるでしょう。みずほフィナンシャルグループは10月中に相談役・顧問に関して早期開示をする方向のようです。私は相談役・顧問のすべてが上記のような方とは思いませんし、むしろそのような方は少ないのではないかと考えます。はっきり言って、東芝問題を日本企業全体の問題のように取扱い、開示を迫るのはいかがなものかと考えます。なんでも開示しろはヘンです。しかし開示は止められませんし、抵抗したところでムダでしょう。相談役・顧問制度に関して好意的に考えている企業は、適当に横並び開示をしておけばよいでしょう。逆に相談役・顧問制度に関して否定的に考えている企業は、これをきっかけに廃止の方向で進めばよいのでしょう。うまく使えばよいだけの話ではないでしょうか。

「相談役・顧問制度に対して投資家は否定的だから廃止しよう」 これはやめた方がよいです。投資家の意見は一意見であり絶対ではありません。貴社が必要と本気で考えているのであれば丁寧に説明すればよいだけの話です。

なお、週刊ダイヤモンドP48に「外部から分かり、責任あれば問題なし!? “取締役"と付く微妙な面々」とあります。「取締役相談役」「取締役顧問」に対する批判です。「取締役相談役・取締役顧問の中には、経営トップ経験者が多い。社長・会長経験者が取締役の中にいると、現社長は改革や大胆な方針転換をしづらいはずだ。」と指摘しています。大きなお世話でしょ?前社長がいるから改革しにくい?そんな情けない社長、います?私は「いない」と信じたいですね。ある意味、取締役相談役・顧問って、社長のお目付け役、株主の代表だと思います。経営トップである社長がきちんとお目付け役、株主の代表に対して説明する。それって、社外取締役じゃないの?そうですね。でも社外取締役って外部の方ですし、会社内部をよく知っていて社長に意見できる人がいたほうがいいんじゃないですすかね。そもそも相談役・顧問にはさほど問題はないと考えますし、取締役なのであればなおのこと問題ないと考えます。私の大好きなISSが「取締役であれば報酬の開示もあるし、訴訟の対象にもなるのでそれなりに責任がある。問題なのは、取締役であるかどうかよりも、社長経験者が取締役会にいること。海外では元CEOが取締役会に居続けることは非常に悪いことだとされる」と指摘しています。 はい、何でもかんでも海外と比べるな、と考えます。「取締役と付くから問題がないと言い切ることはできなそうだ」 いや、問題ないと断言できます。なぜなら株主総会で承認されているからです。

相談役・顧問に対する報酬や処遇にまで批判をしている方がいますが、それはおかしくないでしょうか?月に1回しか来ないのに年間何千万ももらっている!いや、いいでしょ、別に。出社頻度が問題ではなく、アドバイスの質の問題ですよ。ここでは書けませんが、私、本当にすばらしい助言をした相談役を知っています。その相談役の助言がなく、社長が経営施策を実施していたら、経営に大打撃を与えていた可能性すらありました。アドバイスの質がよいのかどうか外部からはわからない!不透明だ! なんでもかんでも透明にすりゃいいってもんじゃありません。業績に反映されてりゃいいんじゃないでしょうかね。はっきり言って「箸の上げ下ろしにまで口をはさむな」と考えます。

今、「東芝の悲劇」という本を読んでいます。この書籍だけで東芝のことを判断するのは難しいですが、東芝という会社は異常な状態がずっと続いていたのではないでしょうか?エクセレントカンパニーかと思いきや実は違っていたようです。あれを日本企業全体の問題として語るのはおかしいです。ってそろそろ誰か声高に主張した方がよい時期ですね。

 

このコラムのカテゴリ

関連する
他のコラムも読む

カテゴリからコラムを探す

月別アーカイブ