2017年11月15日

No.209 オーナー系はこわい?

 日本で起きた有事のケース(敵対的TOBの実施、プロキシーファイト、敵対的買収提案などなど幅広に)にはどういうものがあったのでしょうか?私の記憶だと以下のとおりです。コラムNo.109で掲載したものです。

1999年 ケーブル&ワイヤレス⇔IDC

2000年 村上ファンド⇔昭栄、日本ベーリンガーインゲルハイム⇔エスエス製薬

2002年 村上ファンド⇔東京スタイル

2003年 ダノン⇔ヤクルト

2004年 スティールパートナーズ(SP)⇔ユシロ化学、SP⇔ソトー、三井住友⇔三菱東京/UFJ

2005年 ライブドア⇔ニッポン放送、村上ファンド⇔三共/第一、村上ファンド⇔新日本無線、夢真⇔日本技術開発、村上ファンド⇔阪神、村上ファンド⇔大証

2006年 ドン・キホーテ⇔オリジン東秀/イオン、王子製紙⇔北越製紙、SP⇔明星食品/日清食品、ダルトン⇔サンテレホン、

2007年 いちごアセット⇔東京鋼鐵、SP⇔ブルドックソース、SP⇔天龍製鋸、楽天⇔TBS、SP⇔三精輸送機、SP⇔サッポロ、ダヴィンチ⇔TOC、イオン⇔CFSコーポレーション

2008年 TCI⇔電源開発、SP⇔アデランスHD、日本電産⇔東洋電機製造、エフィッシモ⇔ダイワボウ情報システム

2009年 ブランデス→ローム

2011年 沢井製薬⇔キョーリン製薬HD、エフィッシモ⇔セゾン情報システムズ、TCI⇔日本たばこ産業、エフィッシモ⇔新立川航空機、DRCキャピタル⇔コージツ

2012年~PGM⇔アコーディア、ウットラム⇔日本ペイント、サーベラス⇔西武HD、大塚家具、プロスペクト⇔豊商事、出光興産、スカラ⇔ソフトブレーン佐々木ベジ⇔ソレキア/富士通などなど

 太字にしたケースですが、買収者やホワイトナイトはすべてオーナー系企業じゃないでしょうか?夢真という会社ですが、施工管理の技術者派遣を行っている会社で、佐藤さんという方がオーナーです。ドン・キホーテは安田さん、イオンは岡田さん、日清食品は安藤さん、楽天は三木谷さん、日本電産は永守さん、沢井製薬は澤井さん、PGMはパチンコ機・パチスロ機メーカーの㈱平和の子会社で㈱平和は石原さん、スカラは・・・ちょっとわかりませんが、そして、佐々木ベジ・・・。みーんなオーナー系企業です。夢真や沢井、日本電産は失敗していますが、他のケースは成功していますね。逆に、オーナー系ではない王子製紙や富士通は敵対的TOBおよびホワイトナイトにおいて失敗しました。

 何が違うのでしょうかね?決断までにかかる時間は違うでしょうね。オーナー系は決断が早いです。まあ、オーナーが「よし!買え!」と言えば買いますから(中には「本当に熟慮しましたか?」というケースもありますが)。それに比べて、オーナー系ではない会社は、敵対的TOBやホワイトナイトに踏み切るまでに時間がかかるでしょうし、それ以前に敵対的TOBなどしません。ホワイトナイトに就任することも嫌がります。「目立ったことはしたくない」「火中の栗を拾いたくない」と考える方が多いのでしょう。でもよく考えると「敵対的でもいいし、乗っ取り屋と呼ばれてもいいから、あの会社が欲しい!」と買収者が敵対的買収に踏み切った会社なのですから、相当魅力のある会社のはずです。その会社から「どうか助けてほしい」と依頼されたのだから、これこそ「渡りに船」です。オーナー系はそのあたりの嗅覚が鋭いのかもしれません。

 また、オーナー系ではない会社はそもそも敵対的TOBなどしません、と書きましたが、なぜしないかと言うと、やっぱりレピュテーションリスクなのかもしれません。乗っ取り屋と呼ばれたらイヤでしょうし、今後、友好的な業務提携などにも支障を来たすかもしれません。「あの会社は敵対的買収をする会社だからイヤだ」と。そんなレピュテーションリスクなどお構いなしに、オーナー系企業は「買うべき!」と判断した会社を、敵対的であっても買いに来ます。そんなやんちゃな会社、貴社の業界にもいませんか?要注意です。警戒しておくべきは、アクティビスト・ファンドだけではありません。

 

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