2017年04月05日

No.76 今度は富士通がTOB価格を引き上げ

 本日4月5日(水)、富士通がソレキアに対するTOB価格を4,000円から5,000円に引き上げました。佐々木ベジ氏がTOB価格を3,700円から4,500円に引き上げたのは3月31日(金)です。では、現在の富士通と佐々木ベジ氏の条件を比較してみます。変更箇所には色をつけています。

 富士通のTOB価格は佐々木ベジ氏の提示している価格を500円上回っていますから、現時点では富士通のTOBに応募が集まると考えられます。今回、マーケットはどういう反応をするでしょうか?佐々木ベジ氏がTOB価格を3月31日(金)に引き上げた以降、ソレキアの株価は4,500円を超えて推移していました。4月5日(水)の終値は4,820円です。佐々木ベジ氏のTOB価格を320円上回っています。マーケットは「富士通はTOB価格を引き上げる」と読んでいたということでしょう。

では、明日のソレキアの株価は5,000円を超えてくるでしょうか?これはわかりません。佐々木ベジ氏の公開買付届出書に添付している残高証明では約17億円の資金を準備していることがわかります。ただし、17億円では5,000円を超えるTOB価格を提示することはできません。マーケットも「さすがに佐々木ベジ氏も富士通にはかなわないだろう」ととらえ、株価が5,000円を超えてくることはないのではないかとも考えられます。

佐々木ベジ氏はTOB価格の引き上げを断念するでしょうか?

以前のコラムにも書きましたが、断念することもおおいにあり得ます。佐々木ベジ氏・フリージアマクロスが保有しているソレキア株式は58,600株で取得資金は1億5,400万円です。1株当たりの取得単価は2,638円です。富士通のTOB価格は5,000円ですから、1株当たり2,362円の利益が出ます。トータルで1億3,841万円の利益を得られます。また、当初、富士通が提示したTOB価格は3,500円ですから、佐々木ベジ氏が対抗することによって1,500円もTOB価格を引き上げさせましたから「役目は終わった」と考える可能性はあります。

しかし、以前のコラムでも書いた通り、これであきらめるでしょうか?弁護士やFAも雇っているでしょうから、それなりのコストがかかっているはずです。また、17億円のキャッシュを用意できる方ですから、もっと大きな額を用意することもできそうです。

佐々木ベジ氏はソレキアの株主に対して書簡を送っているようです。その書簡の内容を読んでみると興味深い箇所があります。佐々木ベジ氏は書簡の中で「ソレキアの自主性を高め、独立を守って、社員が経営参加する民主的な経営で社員自身が今以上に豊かになり、株価も上場時の株価(現在の株価と比較すると約3万円)は無理としても、せめて6千円に近づけられるように社員と一緒になって汗をかきたいと思います」と書いています。確かに、富士通がTOB価格を引き上げたことで、佐々木ベジ氏が目標とする株価には近づきました。しかし、まだ6,000円にはおよびません・・・佐々木ベジ氏はTOB価格5,000円をどう考えるでしょうか?

佐々木ベジ氏は富士通がTOB条件を変更すると、今まではだいたい2営業日以内に自身の条件を変えてきています。佐々木ベジ氏が新たな残高証明を添付してTOB価格を引き上げてきたら?ソレキアを巡る攻防戦は泥沼化するリスクがあります。

 

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